ウイスキー愛好家の間で今、熱い視線を浴びている「カムイ」の名を冠したボトルたち。北海道の雄大な自然を象徴するその名前には、実は大きく分けて二つの潮流があることをご存知でしょうか。
一つは、日本最北端の地・利尻島で産声を上げた「利尻蒸留所(Kamui Whisky)」がつくる未知なる原酒。そしてもう一つは、今や世界的な評価を不動のものとした厚岸蒸留所が放つ、アイヌ語を冠したプレミアムな「カムイウイスキー®」シリーズです。
「名前は聞くけれど、結局どちらが本命なの?」「定価で買う方法は?」「どんな味がするの?」そんな疑問を抱えている方のために、今回は二つの「カムイ」の正体を徹底的に解き明かしていきます。
日本最北の挑戦!利尻蒸留所「Kamui Whisky」の正体
まず注目したいのが、北海道の離島・利尻島にある「利尻蒸留所」です。2022年に操業を開始したばかりのこの蒸留所は、まさに「日本最北」というロマンあふれる称号を持っています。
創業者のケイシー・ウォール氏は、アメリカ出身でありながら、利尻島の厳しい寒さと美しい自然、そして何より「水」に惚れ込み、この地に蒸留所を構えました。ここで作られるウイスキーは、まさに神の宿る島を体現するような一本を目指しています。
現在、市場で見かけることができるのは、まだ熟成期間が短い「ニューボーン(原酒)」の状態のものです。しかし、そのポテンシャルは計り知れません。
利尻島特有の「利尻麗峰湧水」という超軟水を使用し、北の冷たい潮風に吹かれながら熟成される原酒は、独特のミネラル感とほのかな塩気を纏うと言われています。
本格的なシングルモルトとしてのリリースは2026年10月頃が予定されており、ウイスキーファンは今からその時を待ちわびている状態です。もし今、神居原酒などのニューボーンを見かけることがあれば、それは歴史の目撃者になるチャンスかもしれません。
厚岸蒸留所の至高の一作「カムイウイスキー®」シリーズ
一方で、すでに完成された芸術品として市場を賑わせているのが、厚岸蒸留所の「カムイウイスキー®」シリーズです。こちらは特定のボトルを指すのではなく、厚岸が展開するプレミアムなラインナップの総称として親しまれています。
厚岸蒸留所といえば、スコットランド・アイラ島の伝統的な製法を、厚岸の湿原や霧という風土に落とし込んだ「厚岸モルト」で有名ですよね。その中でも、特別なテーマを持ってリリースされる「カムイ」の名が付くボトルは、入手困難を極める逸品ばかりです。
例えば、カパッチリカムイ(大鷲)は、2024年に大きな話題となりました。これは厚岸蒸留所と、鹿児島にあるマルス津貫蒸留所が互いの原酒を交換してブレンドした「ヴァッテッドモルト」です。北と南、正反対の環境で育った原酒が混ざり合うことで、重厚なピート感の中に南国のようなフルーティーさが同居する、唯一無二の味わいを生み出しています。
また、JAL(日本航空)とのコラボレーションで生まれたカムイチェップ(鮭)も有名です。こちらは国際線の機内販売や免税店限定という非常に限られた販路ながら、そのクオリティの高さからコレクターの間で争奪戦が繰り広げられました。
厚岸のカムイシリーズは、常に「北海道の自然」をテーマにしており、そのラベルデザインの美しさも相まって、飲むだけでなく所有する喜びを与えてくれるボトルと言えるでしょう。
カムイウイスキーの定価と気になる市場価格のリアル
さて、ファンならずとも気になるのが「いくらで買えるのか」という点です。ジャパニーズウイスキーの高騰が続く中、カムイの名を冠するボトルたちもまた、定価で入手するのは容易ではありません。
厚岸蒸留所のカムイシリーズの場合、メーカー希望小売価格(定価)は概ね3万円から5万円前後に設定されています。具体的には、最新のヤトッタカムイなどは、シングルモルトとしての価値も相まって非常に高価な部類に入ります。
しかし、現実は厳しいものです。これらのボトルは生産本数が極めて少ないため、酒販店の店頭に並ぶことは稀で、多くは抽選販売となります。その結果、二次流通市場では定価の1.5倍から2倍、時にはそれ以上の価格で取引されることも珍しくありません。
一方、利尻蒸留所の原酒については、現時点では「未来への投資」という側面が強いです。ふるさと納税の返礼品としてラインナップされることもあり、こちらは実質的な負担を抑えつつ、貴重な北の原酒を応援するという形で入手が可能です。
どちらの「カムイ」を狙うにしても、ウイスキーグラスを用意して、その一滴をじっくり味わう準備だけはしておきたいものです。
味の評価はどう?愛好家たちが語る驚きのテイスティング
実際に「カムイ」を口にした人々は、どのような感想を持っているのでしょうか。その味の評価を深掘りしてみましょう。
厚岸の「カムイ」シリーズに共通しているのは、力強いピーティー(煙たさ)と、それに負けない果実味の調和です。厚岸特有の「潮気」がアクセントとなり、まるで冷たい海辺で焚き火を囲んでいるような情景が浮かぶと言われます。
特に評価が高いのは、余韻の長さです。一口飲んだ後に鼻から抜ける香りが非常に長く、時間が経つにつれてバニラやチョコレートのような甘みが顔を出す複雑さは、熟練のブレンダーによる職人芸を感じさせます。
対して、利尻の「神居」原酒は、まだ若さゆえの荒々しさはあるものの、非常にクリーンで透明感のある味わいだと評されています。利尻島の厳しい自然を反映したかのような、芯の通った力強さ。これが3年、5年と樽の中で眠ることで、どのような大化けを見せるのか。ファンの間では「将来、世界を驚かせる存在になる」と非常にポジティブな評価が目立ちます。
どちらも共通しているのは、北海道という土地が持つ「野生味」と「純粋さ」がボトルの中に封じ込められている点です。
どこで買える?希少なボトルを入手するための攻略法
「カムイウイスキーを一度でいいから手に入れたい」そう思うなら、いくつかの戦略が必要です。
まず、厚岸のカムイシリーズを狙うなら、JALの免税品予約サイトや、厚岸蒸留所と提携している百貨店の抽選販売をこまめにチェックするのが王道です。また、ふるさと納税(厚岸町)の返礼品として登場することもあるため、自治体の情報をフォローしておくことも欠かせません。
利尻のウイスキーについては、利尻島内の限られた商店や、蒸留所と直接契約を結んでいる全国の「特約店」が主な窓口となります。島を訪れる観光のついでに、現地の酒屋を覗いてみるのも一つの手です。運が良ければ、現地限定の小瓶に出会えるかもしれません。
もちろん、手軽に入手したいのであればオンラインショップという選択肢もありますが、価格と信頼性をしっかりと見極めることが重要です。ウイスキー カムイと検索して出てくるショップの中でも、正規の取り扱いがあるか、あるいは適正なプレミアム価格であるかを確認しましょう。
また、ボトルを1本買うのはハードルが高いという方は、ウイスキーに力を入れているバーを探してみるのもおすすめです。「北海道のカムイを飲みたい」と伝えれば、プロのバーテンダーがそれぞれの違いを解説しながらサーブしてくれるはずです。
まとめ:カムイウイスキーの定価と味の評価は?利尻蒸留所と厚岸の限定ボトルを徹底解説!
「カムイ」という言葉には、アイヌ語で「神」という意味があります。北海道の厳しい寒さと豊かな恵みの中で育まれたウイスキーたちは、まさにその名に恥じない気高さを持っています。
利尻蒸留所がこれから見せてくれる「最北の夢」と、厚岸蒸留所が体現する「究極のクラフト」。どちらも日本のウイスキー文化を語る上で欠かせない存在です。
定価での入手は困難を極めますが、その味わいには価格以上の価値と、北の大地が紡ぐストーリーが詰まっています。もし、運良く「カムイ」の名が付くボトルに出会うことができたら、迷わずその縁を掴み取ってください。
利尻の冷たい風と、厚岸の深い霧。二つの異なる「神の雫」を飲み比べる日は、そう遠くないかもしれません。まずは、今手に入る厚岸 ウイスキーから、その壮大な物語の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。

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