「今日のおやつ、何にしようかな」と考えたとき、ふと頭に浮かぶのが、あのキラキラと輝く飴をまとった大学芋ではありませんか?外はカリッと香ばしく、中はホクホク。甘じょっぱい蜜が絡んだ一口は、大人から子供までみんなを笑顔にしてくれる魔法のスイーツです。
でも、いざ自分で作ろうとすると「油の処理が面倒」「蜜がカチカチに固まってしまった」「芋がパサパサで美味しくない」なんて壁にぶつかることもありますよね。
今回は、そんなお悩みをすべて解決します。おうちで誰でも失敗なく作れる「美味しい大学芋」の極意を、揚げない時短テクニックからプロ級の蜜の黄金比まで、余すことなくお届けします。
なぜ「大学芋」はこれほどまでに愛されるのか?
そもそも、なぜこの料理が「大学」芋と呼ばれているのか、ご存知でしょうか。そのルーツは意外と古く、大正から昭和初期にまで遡ります。
当時、東京の本郷周辺(現在の東京大学があるエリア)の学生たちの間で、安くてお腹にたまるこのおやつが大流行したことが名前の由来といわれています。学費を稼ぐために学生が売っていたという説や、東大赤門前の芋屋さんが売り出したという説など、諸説ありますが、共通しているのは「若者の胃袋を掴んで離さなかった」という事実です。
現代でも、コンビニの冷凍コーナーやデパ地下の惣菜店で必ずと言っていいほど見かけるのは、その完成された味わいゆえ。さつまいもという素朴な素材を、油と砂糖と醤油という最高の組み合わせで昇華させた、日本が誇るべき和スイーツなのです。
失敗しない!美味しい大学芋のための「さつまいも」選び
美味しい大学芋を作る第一歩は、実は調理を始める前の「お芋選び」から始まっています。さつまいもには大きく分けて2つのタイプがあり、どちらを選ぶかで仕上がりの印象がガラリと変わります。
- ホクホク系(紅あずま、高系14号など)昔ながらの大学芋を目指すなら、断然こちらです。水分が少なく、蜜が絡んだときの「外カリ中ホク」のコントラストが際立ちます。お惣菜感のある、しっかりとした食べ応えが魅力です。
- ねっとり・しっとり系(紅はるか、シルクスイート、安納芋など)最近のトレンドは、こちらのタイプです。加熱すると中がクリームのように柔らかくなり、蜜の甘さと芋の甘さが一体化して、まるで高級スイーツのようなリッチな味わいになります。
どちらが良いという決まりはありません。「今日はお茶請けにしっかりしたものを」ならホクホク系、「デザート感覚で甘さを堪能したい」ならねっとり系、というように気分で選んでみてくださいね。
揚げない!フライパンひとつで作る簡単&時短レシピ
「大学芋は食べたいけれど、揚げ物は片付けが面倒……」という方に朗報です。実は、たっぷりの油を使わなくても、フライパンひとつで驚くほど美味しく作れます。この方法なら、フライパンを汚すのも最小限で済みますよ。
1. 下準備:アク抜きとレンジの併用が鍵
まず、さつまいもを乱切りにします。ここで重要なのが「水にさらす」こと。10分ほど水に浸けてアクを抜くことで、色が綺麗に仕上がり、デンプンが焦げ付くのを防げます。
水気を切ったら、耐熱容器に入れて軽くラップをし、電子レンジ(600W)で3分〜4分ほど加熱します。ここで「8割方」火を通しておくのが、時短かつ失敗しないコツです。
2. 揚げ焼きで表面をクリスピーに
フライパンに大さじ2〜3杯の多めの油を引き、レンジで温まったお芋を並べます。中火で転がしながら、表面にこんがりと焼き色をつけていきましょう。すでにレンジで中まで火が通っているので、表面がカリッとなればOKです。
3. 蜜を絡めるフィニッシュ
お芋が焼けたら、一度バットに取り出すか、フライパンの余分な油をキッチンペーパーで拭き取ります。そこに、次に紹介する「黄金比の蜜」を投入し、泡が立ってきたらお芋を戻して一気に絡めます。
冷めても固まらない!蜜(タレ)の黄金比テクニック
大学芋の最大の悩みといえば、「時間が経つと蜜が飴状にカチカチに固まって、お皿から剥がれなくなる」ことではないでしょうか。これを防ぐには、調味料の配合にちょっとしたコツがあります。
究極の黄金比率
- 砂糖:大さじ3
- みりん:大さじ2
- 醤油:小さじ1
- 水:小さじ1
- 隠し味:お酢(またははちみつ)を数滴
この「少量の酢」が重要です。砂糖が再結晶化して固まるのを防いでくれるため、冷めてもしっとり、ツヤツヤの状態をキープできます。お酢の酸味は加熱すれば飛んでしまうので、味には影響しません。
また、コクを深くしたい場合は黒砂糖を少し混ぜるのもおすすめです。最後にはちみつを少量加えると、照りがさらにアップして、お店のようなプロの仕上がりになります。
外カリ中ホクを極めるための3つのポイント
さらにクオリティを上げたいなら、以下の3点にこだわってみてください。
- 二度揚げの魔力もし時間に余裕があるなら、本格的な「揚げ」に挑戦しましょう。一度目は160度の低温でじっくり。一度引き上げて数分休ませた後、180度の高温で一気に30秒ほど揚げます。この一手間で、外側のカリカリ感が持続します。
- 黒ごまのタイミング仕上げに振る黒ごまは、ただの飾りではありません。蜜を絡めている最中に投入するのではなく、火を止めて器に盛る直前、あるいは盛った直後に振りかけましょう。指先で少しひねるようにして潰しながらかけると、香りが一気に引き立ちます。
- 温度差を利用する「熱い蜜」に「熱いお芋」を入れるのが鉄則です。どちらかが冷めていると、蜜がうまく馴染まず、表面だけがベタついてしまいます。
進化系!冷凍大学芋の楽しみ方とアレンジ術
最近、SNSや口コミで話題なのが「冷凍大学芋」です。実は、大学芋は冷凍しても非常に美味しく食べられる優秀なストック食材なんです。
- アイス大学芋として楽しむ冷凍した大学芋を、常温で5分〜10分だけ自然解凍してみてください。外側の飴はパリッパリのままで、中はひんやり。まるで芋のアイスクリームを食べているような新感覚のスイーツになります。暑い季節には特におすすめの食べ方です。
- お弁当の最強の味方凍ったままお弁当箱に詰めれば、保冷剤代わりになります。お昼時にはちょうど食べ頃に解凍されており、他のおかずの塩気の中で、大学芋の甘さが嬉しい箸休めになります。
- アレンジレシピ余った大学芋を細かく刻んで、バニラアイスにトッピングしてみてください。仕上げに少しの塩を振れば、極上の「塩キャラメル芋アイス」に変身します。また、パンに挟んでホットサンドメーカーで焼けば、背徳感たっぷりのスイーツサンドになります。
迷ったらここ!プロの味を堪能できる大学芋の人気店
自作もいいけれど、やはり職人が作る「究極の一品」も食べてみたいものですよね。日本には、行列ができる大学芋専門店がいくつか存在します。
例えば、東京・浅草にある老舗。ここでは季節ごとに最も適した品種のさつまいもを使用し、伝統の技で仕上げられた大学芋がいただけます。また、千葉や茨城といったさつまいも名産地にある直売所では、掘りたての芋を使ったフレッシュな味わいが楽しめます。
最近では、全国のデパートの催事や、コンビニスイーツのレベルも飛躍的に向上しています。セブンイレブンなどの冷凍大学芋は、そのクオリティの高さから「ストックが欠かせない」というファンも多い一品です。
プロの味を知ることは、自分で作る際の「理想の味」の指標にもなります。機会があれば、ぜひ人気店の暖簾をくぐってみてください。
美味しい大学芋を家族で楽しむためのまとめ
さつまいもを切って、焼いて(揚げて)、蜜を絡める。工程はシンプルですが、その中には「アク抜き」「温度管理」「蜜の配合」といった、美味しさを引き出すためのエッセンスが詰まっています。
栄養面で見ても、さつまいもは食物繊維やビタミンCが豊富です。特にビタミンCは加熱しても壊れにくいという特性があるため、甘いものを楽しみながら健康も意識できる、嬉しいおやつと言えるでしょう。
「揚げない方法」なら、平日の忙しい夕食のあとでもパパッと作れますし、週末にたっぷり作って冷凍保存しておくのも賢い選択です。お気に入りの保存容器に入れておけば、いつでも幸せなティータイムが始まります。
黄金比の蜜をたっぷり纏った、あなただけの「美味しい大学芋」をぜひ作ってみてください。カリッとした一口を頬張れば、きっとその香ばしさと優しい甘さに、心まで満たされるはずです。

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