「カレー屋さんのあの大きなナン、家でも食べられたら最高なのに……」
そんなふうに思ったことはありませんか?香ばしい焦げ目、指でちぎると現れるもっちりとした弾気、そして噛むほどに広がる小麦の甘み。あの「美味しいナン」の魅力は、一度ハマると抜け出せませんよね。
でも、いざ自分で作ろうとすると「生地がパンみたいに固くなってしまった」「お店のような膨らみが出ない」といった壁にぶつかりがちです。専用の巨大な窯(タンドール)がないと無理だと思われがちですが、実はちょっとした材料の選び方と「焼き方の工夫」さえ知っていれば、一般家庭のフライパンでも驚くほど本格的な味を再現できるんです。
この記事では、お家で誰でも「美味しいナン」を焼くための秘訣を、科学的な視点とプロの技を交えてじっくりお伝えします。
なぜお店のナンはあんなに「もちもち」で美味しいのか?
まずは、私たちが虜になるあの食感の正体を探ってみましょう。美味しいナンに共通しているのは、表面のパリッとした軽さと、中の圧倒的な「しっとり・もちもち感」のコントラストです。
多くの人が失敗してしまう原因は、実は「強力粉」の使い方にあります。パン作りと同じ感覚で強力粉100%で練ってしまうと、家庭の火力ではコシが強くなりすぎてしまい、ゴムのような食感になりやすいのです。
お店のような歯切れの良さを出すコツは、強力粉に少しだけ中力粉を混ぜる、あるいは薄力粉をブレンドすること。これにより、弾力がありつつも、サクッと噛み切れる絶妙なテクスチャーが生まれます。
さらに重要なのが「水分量」です。プロの現場では、生地が手にくっつくギリギリの柔らかさで扱われます。この水分をしっかり保持したまま焼き上げることが、時間が経っても固くならないナンの大前提となります。
劇的に味が変わる!生地に混ぜるべき「魔法の隠し味」
美味しいナンを焼くために、小麦粉以外に必ず用意してほしい材料が3つあります。これを入れるだけで、プロの味に一気に近づきます。
- プレーンヨーグルトこれが最大のポイントです。ヨーグルトに含まれる乳酸が小麦粉のタンパク質を軟化させ、生地を驚くほどふっくらさせてくれます。また、発酵を助ける効果もあり、焼き上がりの香りが一気に本格的になります。
- 砂糖と少量の塩ナンは甘くないと思われがちですが、隠し味程度の砂糖が欠かせません。砂糖は焼き色を綺麗につける「メイラード反応」を促進し、同時に生地の保水力を高めてくれます。塩は味を引き締め、小麦の旨味を際立たせる役割を担います。
- 油脂(バターやサラダ油)生地に少量の油分を練り込むことで、生地の伸びがよくなります。ナンの特徴である「薄く伸ばしても破れない粘り」は、この油分によって支えられているのです。
もし、よりリッチな味わいを目指すなら、溶かしバターの代わりにギーを使ってみてください。インド料理で欠かせないこの澄ましバターは、独特の香ばしいナッツのような風味をナンに与えてくれます。
フライパンで再現!タンドールの熱環境を作る焼き方のコツ
さて、いよいよ実践です。家にタンドール(土窯)がなくても、どこの家庭にもある「蓋付きのフライパン」が最強の武器になります。
多くの人がやってしまう失敗は、ホットケーキのように弱火でじっくり焼いてしまうこと。これでは生地の水分がどんどん飛んでしまい、カチカチの乾燥したナンになってしまいます。
蒸し焼きと直火の合わせ技
まず、フライパンを中火以上でしっかり予熱します。生地を伸ばして並べたら、すぐに蓋をしてください。この「蓋をする」工程が極めて重要です。蓋をすることで、生地から出る蒸気がフライパンの中に閉じ込められ、タンドール内部のような「高温多湿」な状態が擬似的に作られます。
数分して生地の表面がぷくぷくと大きく膨らんできたら、ひっくり返します。両面に美味しそうな焼き色がつけば、基本の焼き上がりです。
最後の仕上げで「香り」をプロ級に
フライパンから取り出した後、ここでもうひと手間。キッチンのコンロがガス火であれば、トングでナンを掴み、強火で数秒だけ表面を直接炙ってみてください。この「直火仕上げ」によって、フライパンだけでは出せない香ばしい「焦げの香り」がプラスされます。これこそが、お店で食べるあの風味の正体です。
チーズにガーリック!人気のナンのアレンジ術
プレーンなナンをマスターしたら、次はバリエーションを楽しみましょう。
特に人気が高いのは、中からチーズが溢れ出す「チーズナン」ですよね。コツは、生地でチーズを包む際に、欲張って入れすぎないこと……と言いたいところですが、自宅で作るならとろけるチーズをこれでもかと詰め込むのが醍醐味です。包んだ後に薄く伸ばす際、中の空気が抜けないように優しく扱うのが、綺麗に膨らませる秘訣です。
また、食欲をそそる「ガーリックナン」も簡単です。刻んだニンニクをバターと一緒に弱火で熱し、香りを移したオイルを焼き上がったナンの表面にたっぷり塗るだけ。これだけで、一気にディナーの主役に格上げされます。
最近では、甘い系のナンも注目されています。ナッツやドライフルーツを練り込んだ「カブリナン」や、チーズナンの表面にはちみつをたっぷりかけた「ハニーチーズナン」は、辛いカレーの最高の箸休めになります。
ナンを最大限に活かす!相性抜群のカレー選び
美味しいナンが焼けたら、それを迎え撃つカレーにもこだわりたいところです。
ナンに合うのは、断然「とろみの強い濃厚なカレー」です。南インドのサラサラしたスープ状のカレーよりも、北インド風のバターや生クリームを贅沢に使ったリッチなカレーが、ナンの強い甘みとマッチします。
おすすめの組み合わせ
- バターチキンカレーナンのためにあると言っても過言ではない組み合わせ。トマトの酸味とバターのコクが、モチモチの生地にしっかり絡みます。
- キーマカレーひき肉の食感があるキーマカレーは、ナンで掬って食べるのに最適です。少しスパイシーに仕上げると、ナンの甘みがより際立ちます。
- サグ(ほうれん草)カレー野菜の旨味が凝縮されたサグカレーは、ガーリックナンとの相性が抜群。お互いの香りを引き立て合います。
市販のルウを使う場合でも、仕上げに少しのガラムマサラや、カシューナッツペーストを加えるだけで、ナンに負けない深みが生まれます。
翌日も「美味しいナン」を食べるための温め直し術
つい作りすぎて余ってしまったナン。翌日に食べようとしたら、カチカチに硬くなっていてガッカリ……という経験はありませんか?
ナンは水分量が命なので、放置するとすぐに乾燥してしまいます。保存する場合は、温かいうちに1枚ずつラップでぴっちり包み、さらにジップ付きの保存袋に入れてください。これで翌日までなら常温(夏場は冷蔵)、それ以上なら冷凍保存が可能です。
復活の温め直しテクニック
食べる直前に、以下の手順を試してみてください。
- ナンの表面に、霧吹きでシュッと一吹き水をかけます(これが重要!)。
- アルミホイルで全体を包みます。
- オーブントースターで2〜3分温めます。
- 最後にアルミホイルを開けて、表面を30秒ほど焼いてパリッとさせます。
この方法なら、まるでお店で焼きたてを出されたかのような、あの「ふっくら・もちもち」の状態が完全復活します。
美味しいナンを自宅で!フライパンでふっくら焼くコツと相性抜群のカレーを徹底解説:まとめ
「美味しいナン」は、お店でしか食べられない贅沢品ではありません。
小麦粉の配合に少しだけ気を配り、ヨーグルトを隠し味に加え、フライパンの蓋を閉めて一気に焼き上げる。このシンプルなルールを守るだけで、あなたの食卓は一気にインド料理の専門店のような幸福感に包まれます。
焼きたてのナンの香ばしさは、何物にも代えがたいご馳走です。自分の手で生地を伸ばし、ぷくぷくと膨らんでいく様子を眺めるのは、料理の楽しさを再発見させてくれる素敵な体験になるはず。
まずは今週末、お気に入りのカレーと一緒に、あなただけの最高のナンを焼いてみませんか?一度その味を知ってしまったら、もう市販のナンでは満足できなくなってしまうかもしれませんよ。
ぜひ、今回ご紹介した「美味しいナン」を焼くコツを試して、お家カレーの時間をアップデートしてみてくださいね。

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