秋の食卓の主役といえば、なんといってもサンマですよね。脂がのってジュワッと焼き上がったサンマに、大根おろしと醤油を添えて頬張る瞬間は、まさに至福のひとときです。しかし、近年のサンマは不漁が続いていたり、時期によって品質にバラつきがあったりと、「どれを選べば正解なのかわからない」という悩みもよく耳にします。
せっかく買うなら、ハズレを引きたくないのは誰しも同じ。実は、プロが魚市場で見ている「美味しいサンマの見分け方」には明確なチェックポイントがあるんです。今回は、スーパーの鮮魚コーナーで迷わず最高の一匹を手に取るための極意を、鮮度・脂のり・保存・調理のすべての面から徹底的に解説します。
口先の「黄色」は鮮度のバロメーター!一瞬で見抜くポイント
美味しいサンマの見分け方において、最も分かりやすく、かつ信頼できる指標が「口先」の色です。サンマの顔をじっくり見てみてください。下あごの先端が鮮やかな黄色をしていませんか?
この黄色は、水揚げされてから時間が経過していない「鮮度の証」です。サンマは鮮度が落ちるのが非常に早い魚ですが、この黄色の発色は水揚げから数日経つと茶色っぽく変色し、やがて消失してしまいます。つまり、口先が真っ黄色なサンマは、それだけで「買い」の最有力候補になります。
また、目にも注目してください。透明感があり、黒目がはっきりしているものが新鮮です。逆に、目が白く濁っていたり、充血したように赤くなっているものは、鮮度が落ちて身が柔らかくなっている可能性が高いので避けましょう。
脂がのったサンマは「肩」と「体型」に差が出る
鮮度が良くても、脂がのっていなければサンマの醍醐味は半減してしまいます。脂ののった個体を見分けるには、サンマを上や横から観察して「体型」をチェックしましょう。
まず見るべきは「肩」の盛り上がりです。頭のすぐ後ろから背中にかけて、不自然なほどこんもりと盛り上がっているものがあります。これは、全身にしっかりと栄養を蓄え、脂がのっている証拠。いわゆる「肩が張っている」状態のサンマは、焼いたときに滴り落ちるほどの脂を蓄えています。
次に、全体のフォルムを確認してください。お腹がぺちゃんこな個体ではなく、円筒形に近い、丸々と太ったものを選びましょう。正面から見たときに厚みがあり、顔のサイズに対して体がやたらと大きく見える「小顔」な個体は、身が詰まっていて非常に美味しいです。
さらに、尾びれの付け根付近まで黄色みを帯びているものは、全身に脂が回っているサインと言われています。口先の黄色と合わせて、尾の付け根までチェックできれば完璧です。
2026年の最新サンマ事情と美味しい時期の狙い方
近年のサンマ漁は、海水温の変化や海流の影響で非常に不安定な状況が続いています。しかし、2025年シーズンから2026年にかけては、一時的な不漁から回復の兆しを見せ、サイズも良く脂ののった個体が市場に出回る機会が増えています。
かつては「10月のサンマが一番美味しい」と言われていましたが、近年のトレンドでは「9月中」の早めの時期を狙うのがおすすめです。海水温の影響で、サンマが日本近海に留まる期間が短くなったり、南下する前に漁期が終わってしまったりすることがあるからです。
最も脂がのるピークを見逃さないためには、スーパーの店頭に並び始めた初期からこまめにチェックし、産地が北海道から徐々に南下してくるタイミングを見極めましょう。初物(はつもの)は価格こそ高いものの、その分鮮度管理が徹底されており、極上の味わいを楽しめます。
解凍品と生サンマ、どっちを買うのが正解?
スーパーに行くと「生サンマ(冷蔵)」と「解凍サンマ」の両方が並んでいることがあります。一般的には「生のほうが美味しい」と思われがちですが、実は一概にそうとは言えません。
「解凍サンマ」として売られているものの多くは、最も漁獲量が多く、サンマが一番太っている時期に獲れたものを船上で急速冷凍したものです。そのため、不漁の時期の痩せた生サンマよりも、解凍品のほうが脂がのっていて美味しいという逆転現象が起こることがあります。
一方で「生サンマ」の最大の魅力は、内臓(ワタ)の美味しさと身の弾力です。サンマのワタ特有のほろ苦さを楽しみたい方や、加熱してもふっくらした食感を重視する方は、ぜひ生を選んでください。また、刺身で食べたい場合は、必ず「刺身用」と明記された生サンマを選ぶ必要があります。
鮮度をキープする正しい保存と下処理のテクニック
最高のサンマを選んだら、その鮮度を自宅でどう守るかが重要です。買ってきたパックのまま冷蔵庫に入れるのは避けましょう。
まずは、表面の雑菌や汚れを落とすために、冷水でさっと洗い流します。ここで最も大切なのが「水分を完全に拭き取ること」です。水分が残っていると、そこから菌が繁殖し、青魚特有の生臭さの原因になります。キッチンペーパーで1尾ずつ丁寧に拭き取りましょう。
すぐに食べない場合は、1尾ずつラップでぴっちりと包み、空気に触れないようにしてジップ付き袋に入れます。冷蔵庫の「チルド室」での保存が理想的です。
もし数日間保存したい場合は、冷凍保存も可能です。驚くべきことに、サンマは内臓を抜かずに丸ごと冷凍したほうが、身の乾燥(冷凍焼け)を防げると言われています。食べる際は冷蔵庫でゆっくり半解凍し、少し凍った状態で調理を開始すると、身崩れしにくく綺麗に仕上がります。
焼き上がりに差がつく!プロ直伝の塩焼きのコツ
美味しいサンマを最大限に引き立てる料理といえば、やはり塩焼き。プロ並みの仕上がりにするには、焼く直前の準備に秘密があります。
まず、焼く15分から20分前に、少し高い位置から均一に塩を振りましょう。これを「紙塩(かみじお)」や「振り塩」と呼びます。塩を振ることで身から余計な水分とともに臭みが排出されます。しばらく置くと表面に水分が浮き出てくるので、それを再びキッチンペーパーで優しく押さえるように拭き取ってください。
焼く際は、グリルをあらかじめ十分に温めておくことが重要です。網に酢や油を薄く塗っておくと、皮がくっついて剥がれるのを防げます。強火の遠火が理想ですが、家庭用グリルの場合は、皮がパリッと香ばしくなるまで焼き、裏面はさっと火を通す程度にすると、中の脂が逃げずにジューシーに仕上がります。
もし家でサンマを焼く際の煙が気になるなら、フィッシュロースターのような専用の調理器具を使うと、消臭フィルター付きで快適に調理できるのでおすすめです。
サンマに含まれる驚きの栄養価と健康メリット
美味しいだけでなく、サンマは現代人に不足しがちな栄養素の宝庫です。特に注目すべきは、青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)です。
これらは血液をサラサラにし、中性脂肪を抑える効果があるため、健康診断の結果が気になる方には積極的に摂ってほしい成分。特にサンマの脂にはこれらの成分がぎっしり詰まっています。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDや、美容に嬉しいビタミンB群も豊富に含まれています。
サンマを焼いた際に出てくる脂には、これらの有効成分が溶け出しています。大根おろしを一緒に食べるのは、消化を助けるだけでなく、脂のしつこさを中和して美味しく食べるための理にかなった組み合わせなのです。
サンマ選びで失敗しないためのQ&A
スーパーの店頭でよくある疑問についてお答えします。
Q: ウロコがついていないサンマは鮮度が悪いの?
A: 実は逆です。サンマのウロコは非常に剥がれやすく、網で獲る際にほとんどが落ちてしまいます。逆に、ウロコが少し残っているような個体は、丁寧に扱われた証拠であり、鮮度が極めて高いことが多いです。
Q: お腹から赤い糸のようなものが出ていることがありますが…
A: それは「ラジノリンクス」という寄生虫の一種である可能性があります。サンマにはよく見られるもので、人体には無害ですが、見た目が気になる場合は取り除いてください。加熱調理すれば全く問題ありません。
Q: 刺身で食べる時の注意点は?
A: 自分で捌く場合は、アニサキスという寄生虫に注意が必要です。必ず「刺身用」として販売されているものを選び、目視でよく確認しましょう。不安な場合は、一度48時間以上冷凍したものを解凍して食べるのが最も安全です。調理器具の衛生管理には、パストリーゼのような食品直接噴霧可能なアルコールスプレーを活用すると安心ですね。
最高の秋を味わうための美味しいサンマの見分け方
ここまで解説してきた通り、美味しいサンマを手に入れるためには、いくつかの明確なポイントを押さえるだけで劇的に確率が変わります。
最後におさらいしましょう。スーパーの店頭でチェックすべきは以下の3点です。
- 口先が鮮やかな黄色をしているか
- 頭の後ろ(肩)が盛り上がり、お腹が丸々と太っているか
- 目が黒く澄んでいて、全体的に青銀色に輝いているか
このポイントさえ守れば、旬の時期に最も美味しい一匹に出会えるはずです。不漁や価格高騰というニュースもありますが、だからこそ、一回一回の買い物を大切にし、最高のサンマを選びたいものですよね。
脂ののった美味しいサンマを焼く香りは、日本の秋の象徴です。ぜひ今回の「美味しいサンマの見分け方」を参考にして、食卓を彩る最高の一皿を楽しんでください。今夜のおかずは、サンマの塩焼きで決まりですね!

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