バーの棚を眺めているときや、酒屋さんのウイスキーコーナーを歩いているとき、ふと目に飛び込んでくる「鳥の絵」が描かれたラベルたち。
「あのライチョウの絵のウイスキー、名前なんだっけ?」
「カッコいいカラスのマークがついたバーボンがあったはず……」
「鳥が好きな友人へのプレゼントに、おしゃれなラベルのボトルを贈りたい」
そんなふうに思ったことはありませんか?実はウイスキーの世界には、鳥をシンボルにした銘柄が驚くほどたくさん存在します。スコットランドの厳しい自然を象徴する雷鳥から、アメリカの荒野を思わせる野生の七面鳥まで、その背景には深い歴史と造り手のこだわりが隠されているんです。
今回は、ラベルに鳥が描かれた印象的なウイスキーを厳選してご紹介します。それぞれの鳥が選ばれた理由や、気になる味の特徴まで詳しく解説していくので、ぜひ次の一本を選ぶ参考にしてみてくださいね。
スコットランドの象徴「雷鳥」が目印の定番ボトル
まず最初にご紹介するのは、スコッチウイスキーの中でも圧倒的な知名度を誇る「雷鳥」のラベルです。
ザ・フェイマス・グラウス(The Famous Grouse)
スコットランドを代表する鳥といえば「レッド・グラウス(赤雷鳥)」です。この鳥をラベルに掲げているのがザ・フェイマス・グラウスです。
このウイスキー、実は最初から「フェイマス(有名な)」という名前だったわけではありません。元々は単に「グラウス(雷鳥)」という名前で発売されました。ところが、そのあまりの美味しさと品質の高さから、地元の愛飲家たちが「あの有名な雷鳥のウイスキーをくれ!」と注文するようになり、メーカーが正式に名前を「フェイマス・グラウス」に変えてしまったというユニークなエピソードがあります。
味わいは非常にバランスが良く、リンゴや洋ナシのようなフルーティーさと、微かなスモーキーさが絶妙に混ざり合っています。スコットランド本国では30年以上もシェアNo.1を守り続けている「国民的ウイスキー」です。ハイボールにすると香りがパッと開き、食事との相性も抜群ですよ。
アメリカの野生を感じる「七面鳥」と「カラス」のバーボン
海を渡ってアメリカ・ケンタッキー州へ目を向けると、力強い鳥たちがラベルを飾るバーボンウイスキーに出会えます。
ワイルドターキー(Wild Turkey)
バーボンといえばワイルドターキーを思い浮かべる方も多いでしょう。ラベルには堂々とした野生の七面鳥が描かれています。
この名前の由来は、1940年にまで遡ります。当時の蒸留所オーナーが、仲の良い友人たちと野生の七面鳥(ワイルドターキー)のハンティングに出かけた際、貯蔵庫から特別にボトリングしたウイスキーを持参しました。それを飲んだ友人が「あのワイルドターキーのウイスキーは最高だった!」と絶賛したことから、そのままブランド名になったと言われています。
ワイルドターキーは、原料のトウモロコシの比率を抑え、ライ麦や大麦麦芽を贅沢に使用しているのが特徴です。そのため、バニラやキャラメルのような甘みの中に、力強いスパイシーさとコクが感じられます。
オールド・クロウ(Old Crow)
真っ黒なカラスがトレードマークのオールド・クロウも忘れてはいけません。カラスの絵が印象的ですが、実はブランド名の「クロウ」は鳥のことではなく、創業者のジェイムズ・クロウ医学博士の名前に由来しています。
とはいえ、ラベルにはしっかりとカラスが描かれており、その無骨なスタイルは多くのファンを魅了してきました。特に俳優の松田優作氏が愛飲していたことでも知られ、ハードボイルドな大人のイメージが定着しています。味わいは爽やかでライト。バーボン特有のクセが少なめで、ソーダ割りでゴクゴク飲める一本です。
蒸留所の個性を映し出す「花と動物シリーズ」の野鳥たち
ウイスキーファンなら一度は憧れるのが、ディアジオ社がリリースしている「花と動物シリーズ」です。これは、特定の蒸留所のシングルモルトをボトリングしたシリーズで、それぞれのラベルにその土地にゆかりのある花や動物が描かれています。その中には、鳥をモチーフにした美しいラベルがいくつもあります。
リンクウッド 12年(Linkwood)
リンクウッド 12年のラベルに描かれているのは、優雅に水辺を泳ぐ「白鳥」です。蒸留所の敷地内にある冷却用の池に、実際に白鳥が飛来することからこのデザインが採用されました。
中身のウイスキーも、白鳥のイメージ通り非常にエレガント。フレッシュな花の香りと、青リンゴのような爽やかさが特徴で、シングルモルト初心者の方にも自信を持っておすすめできる一本です。
ストラスミル 12年(Strathmill)
こちらのラベルを飾るのは、可愛らしい「セキレイ」です。蒸留所が水車小屋として使われていた時代から、この鳥がよく姿を見せていたそうです。ナッツのような香ばしさと、クリームのようななめらかな口当たりが楽しめます。
オスロスク 10年(Auchroisk)
オスロスク 10年には、空を舞う「ツバメ」が描かれています。オスロスクとはゲール語で「赤い流れを渡る浅瀬」という意味があり、非常にクリアでピュアな水を使っていることで知られています。その清らかなイメージに、ツバメの軽やかな姿がマッチしていますね。
まだある!鳥の絵が素敵な個性派ウイスキー
メジャーな銘柄以外にも、鳥のラベルが印象的なボトルはまだまだあります。
ニッカウヰスキー 鶴(Tsuru)
日本のウイスキーの父、竹鶴政孝が妻リタへの捧げものとして、また自身の集大成として造り上げたのがニッカ 鶴です。ボトルそのものが鶴を模した優美な曲線を描いており、ラベルというよりも「作品」に近い佇まいです。現在は蒸留所限定などで販売される貴重なボトルですが、その気品溢れる味わいとデザインは、まさに日本の美学を感じさせます。
キングフィッシャー(Kingfisher)
「キングフィッシャー」と聞くと、インドのビールを思い出す方が多いかもしれませんが、実はウイスキーも存在します。ラベルには鮮やかな色彩の「カワセミ」が描かれており、南国らしいエキゾチックな雰囲気を漂わせています。
なぜウイスキーのラベルには鳥が多いのか?
ここまで多くの「鳥の絵」のウイスキーを見てきましたが、なぜこれほどまでに鳥が選ばれるのでしょうか。そこには、ウイスキー造りと自然環境の深い関わりがあります。
- 豊かな水源の象徴美味しいウイスキーを造るには、清らかな水が不可欠です。美しい鳥たちが集まる場所は、すなわち良質な水源がある場所。鳥の絵を描くことで、そのウイスキーのピュアな品質を証明しているのです。
- 地域のアイデンティティスコットランドの雷鳥や、アメリカの七面鳥のように、その土地を象徴する生き物をラベルにすることで、地域への愛着と誇りを表現しています。
- 自由と飛躍のイメージ空を自由に飛ぶ鳥の姿は、ブランドのさらなる発展や、型にハマらない自由な味わいを象徴するアイコンとして非常に優秀です。
鳥ラベルのウイスキーをプレゼントに選ぶなら
鳥の絵が描かれたボトルは、見た目の華やかさからギフトとしても非常に人気があります。贈る相手のイメージに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。
- お酒好きの年配の方へ: 歴史と格式を感じさせるワイルドターキー 13年や、松田優作氏のエピソードを添えてオールド・クロウを。
- おしゃれな女性や初心者の方へ: 白鳥のラベルが美しいリンクウッド 12年や、ハイボールで美味しいザ・フェイマス・グラウスを。
- コレクター気質の方へ: ディアジオ社の「花と動物シリーズ」から、珍しい鳥が描かれたボトルを。
ラベルの絵から入るウイスキー選びは、決して邪道ではありません。むしろ、そのデザインに込められた物語を知ることで、グラス一杯のウイスキーがより一層深く、味わい深いものになるはずです。
ウイスキーの鳥の絵は何?ラベルが印象的な銘柄10選と由来を徹底解説!のまとめ
今回は、ラベルに描かれた「鳥」をキーワードに、様々なウイスキーをご紹介してきました。
「あの鳥の絵は何だったっけ?」という疑問は解消されたでしょうか。定番のザ・フェイマス・グラウスの雷鳥、力強いワイルドターキーの七面鳥、そして優雅な「花と動物シリーズ」の野鳥たち。どの一本も、単に見た目が良いだけでなく、中身のクオリティも折り紙付きの名酒ばかりです。
次にバーや酒屋さんに足を運んだ際は、ぜひボトルのラベルに描かれた鳥たちを探してみてください。もしかすると、その鳥たちがあなたを新しいウイスキーの体験へと導いてくれるかもしれません。
お気に入りの鳥のボトルを見つけたら、まずはストレートでその香りを楽しみ、次に少しの水を加えて変化を感じ、最後はハイボールで軽やかに。鳥のように自由な発想で、ウイスキーの世界を堪能してくださいね。

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