「今日のご飯、何にする?」と聞かれて、真っ先に頭に浮かぶメニュー。それは、サクサクのトンカツとスパイシーなルーが完璧なハーモニーを奏でる「カツカレー」ではないでしょうか。
老若男女を問わず愛される国民食ですが、いざ自宅で作るとなると「カツがベチャッとしてしまう」「お店のような深いコクが出ない」といった悩みに直面しがちです。せっかく手間をかけて揚げるなら、専門店を超える最高の一皿を目指したいですよね。
今回は、家庭のキッチンで誰でも再現できる「究極に美味しいカツカレー」の作り方を、プロの技を交えながらたっぷりとお伝えします。
始まりは銀座の情熱から?カツカレーの奥深い歴史
私たちが当たり前のように食べているカツカレー。実は、日本独自の進化を遂げたハイブリッドな洋食なんです。その発祥には諸説ありますが、最も有名なのは1948年の銀座。プロ野球チーム・読売巨人軍の千葉茂選手が、当時通っていた洋食店「銀座スイス」で「カレーライスにポークカツを載せてくれ!」と注文したことがきっかけと言われています。
「別々に食べるのが面倒だから」という豪快な理由から生まれたメニューが、今や日本を代表する人気料理になったというのは面白いですよね。また、それより以前の大正時代には、浅草の「河金」というお店で「河金丼」というカツカレーの原型のようなメニューが提供されていたという記録もあります。
歴史を知ると、一皿のカツカレーがより味わい深く感じられませんか?先人たちの「もっと美味しく、もっとお腹いっぱいに」という情熱が、この黄金の組み合わせを生み出したのです。
カツを極める!サクサク感を24時間キープする揚げ方
美味しいカツカレーの主役は、なんといっても「カツ」の食感です。ルーをかけても最後までサクサク。そんな理想のカツを作るには、いくつかの科学的なコツがあります。
お肉の選び方と下準備の魔法
まずはスーパーでのお肉選びから。カツカレーには、脂の甘みがカレーと溶け合う「ロース肉」がおすすめです。もし、さっぱりと楽しみたいのであれば、きめ細かな「ヒレ肉」を選びましょう。
買ってきたお肉をそのまま揚げるのはNGです。まずは、赤身と脂身の間にある「筋」を包丁の先で切りましょう。これが「筋切り」です。これを丁寧に行うだけで、揚げたときにお肉が反り返らず、どこを食べても柔らかい食感に仕上がります。
さらに、お肉を軽く叩いて厚みを均一にしたら、塩コショウは「揚げる直前」に振りましょう。早く振りすぎるとお肉から水分(=旨味)が逃げ出してしまうからです。
秘密の「バッター液」とパン粉の選び方
衣作りには、卵、小麦粉、水を混ぜ合わせた「バッター液」を使いましょう。これをお肉にくぐらせてからパン粉をつけることで、お肉と衣がガッチリと密着します。カレーをかけても衣が剥がれにくくなる、プロ御用達のテクニックです。
パン粉は、できれば「生パン粉」を選んでください。乾燥パン粉よりも水分を含んでいるため、揚げ上がりがトゲトゲと立ち上がり、より軽やかな食感を生み出します。
「二度揚げ」こそがサクサクの正解
一度に全部火を通そうとすると、外側が焦げたり中がパサついたりします。そこで実践したいのが「二度揚げ」です。
- 160度程度の低めの温度で3分ほど揚げ、一度バットに取り出します。
- そのまま4〜5分、余熱でお肉の中にじっくり火を通します。この「お休みタイム」がお肉をジューシーにする秘訣です。
- 最後に200度近い高温で、30秒ほどサッと揚げます。
この最後の一手で表面の水分が一気に飛び、時間が経ってもベチャつかない「黄金のサクサク衣」が完成します。
市販のルーが激変!専門店のような深いコクを出す隠し味
カツの準備ができたら、次はカレーのブラッシュアップです。いつも使っている市販のカレールーも、少しの工夫で「お店の味」へと進化します。
玉ねぎは「飴色」が正義
まずは基本の玉ねぎ炒め。ここで妥協してはいけません。玉ねぎが濃い茶色になるまで炒めることで、天然の甘みと旨味がルーに深みを与えます。
「そんなに時間がかけられない!」という方は、耐熱容器に入れた玉ねぎを電子レンジで10分ほど加熱してから炒めてみてください。細胞が壊れることで、驚くほど短時間で飴色になりますよ。
カツに負けない「重厚感」を加える隠し味
カツの脂の強さに負けないよう、ルーには「苦味」と「酸味」を足すのがポイントです。
- インスタントコーヒー: 小さじ1杯入れるだけで、長時間煮込んだような熟成感とほろ苦さが加わります。
- ビターチョコレート: ひとかけら入れると、艶が出てコクがグッと増します。
- ウスターソース: スパイス感と酸味が加わり、カツの脂っぽさを適度に引き締めてくれます。
- 牛脂: お肉屋さんでもらえる牛脂を野菜と一緒に炒めると、動物性の旨味が溶け出し、高級感のある味わいになります。
仕上げには、香りが飛びやすいガラムマサラをパラリ。これで、カツの香ばしさに負けない華やかな香りが立ち上がります。
視覚から美味しい!究極の盛り付けテクニック
料理は見た目も味のうち。カツカレーをより魅力的に見せるには、少しの「演出」が必要です。
カツを切る際は、1.5cmから2cm幅を目安に。断面を少しずつずらしてご飯の上に並べると、ボリューム感が強調されます。ルーをかけるときは、カツの「半分」だけにかけるのがコツ。これで、カレーが染みたしっとり部分と、揚げたてのサクサク部分の両方を楽しめます。
また、福神漬けの赤や、キャベツの千切りの緑を添えることで、色彩のバランスが整い、食欲をそそるビジュアルになります。特にキャベツは、消化を助ける成分が含まれているので、揚げ物との相性は抜群です。
まとめ:美味しいカツカレーを自宅で!サクサクに揚げるコツとプロ級の隠し味を徹底解説
いかがでしたか?家庭で作るカツカレーも、お肉の筋切りや二度揚げ、そして隠し味のちょっとした工夫で、驚くほど本格的な一皿に変貌します。
カツのサクサク感と、こだわり抜いたルーのコク。この二つが口の中で溶け合ったとき、至福の時間が訪れるはずです。特別な日のお祝いに、あるいは頑張った自分へのご褒美に、今回ご紹介したテクニックをぜひ試してみてください。
あなたの台所から、家族や友人が笑顔になる「最高に美味しいカツカレー」が生まれることを願っています。
次は、カツを揚げる際にあると便利な温度計付天ぷら鍋を使って、より正確な温度調整に挑戦してみてはいかがでしょうか?

コメント