「冬の味覚の王様」といえば、やっぱりカキフライですよね。黄金色に輝くサクサクの衣を噛みしめると、中から海のミルクとも呼ばれる濃厚なエキスがじゅわっと溢れ出す……。想像しただけでお腹が空いてくる、究極の冬のご馳走です。
でも、いざ家で作ってみると「身が小さく縮んでしまった」「衣がベチャベチャ」「なんだか生臭い」といった失敗に悩む方も多いのではないでしょうか。実は、お家でプロ級の美味しいカキフライを作るには、ちょっとした「科学的なコツ」と「丁寧な下準備」が必要なんです。
今回は、初心者の方でも絶対に失敗しないサクサクの揚げ方はもちろん、カキフライを心ゆくまで堪能できる東京の聖地まで、その魅力を余すことなくお届けします。
究極の美味しいカキフライは「下準備」で8割決まる
カキフライの成功を左右するのは、実は油に入れる前の工程です。ここで手を抜かないことが、プロの味への近道になります。
汚れと臭みを完全リセットする「洗い方」
スーパーで買ってきた牡蠣、そのままパックから出して使っていませんか? カキフライを美味しく仕上げるには、ひだの間に隠れた細かい汚れや雑菌、独特の臭みを取り除くことが不可欠です。
おすすめは「片栗粉」と「塩」を使った洗浄です。
まず、ボウルに牡蠣を入れ、片栗粉を大さじ1〜2杯、塩を少々振りかけます。手で優しく、円を描くように揉んでみてください。すると、真っ白だった片栗粉が灰色に濁ってきます。これが汚れや臭みの正体です。
その後、3%程度の塩水(水500mlに対して塩大さじ1弱)でさっとすすぎます。真水で洗うと、浸透圧の関係で牡蠣の旨味が外に逃げてしまい、水っぽくなってしまうので注意が必要です。最後にキッチンペーパーを使い、1粒ずつ丁寧に、優しく水分を拭き取ってください。この「水気の除去」が、揚げた時の爆発を防ぐ最大のポイントになります。
「加熱用」こそがフライの正解
意外と知られていないのが、生食用と加熱用の使い分けです。「生食用のほうが鮮度が良くて美味しそう」と思われがちですが、実はカキフライには加熱用 牡蠣が適しています。
生食用は、保健所の規定により一定期間、綺麗な海水で浄化されています。その過程で菌は減りますが、同時に旨味成分も少し抜けてしまいます。一方、加熱用は栄養豊富な海域から獲れたてがパックされているため、身が太っていて味が濃いのが特徴です。フライにするなら、迷わず加熱用を選びましょう。
衣の魔法!サクサク感を長時間キープする裏技
「お店のカキフライは、時間が経ってもどうしてあんなにサクサクなの?」その秘密は、衣の付け方にあります。
バッター液が旨味のバリアになる
一般的な「小麦粉→卵→パン粉」の工程でも作れますが、よりプロの仕上がりに近づけるなら「バッター液」が最強です。バッター液とは、小麦粉、卵、少量の水(または牛乳)をあらかじめ混ぜ合わせた液のこと。
これに牡蠣をくぐらせることで、身が隙間なくコーティングされます。揚げている間に中の水分が逃げ出さないため、身が縮みにくくなり、外はカリッと、中は驚くほどジューシーに仕上がります。
パン粉の選び方で食感を変える
食感にこだわりたいなら、生パン粉を使いましょう。乾燥パン粉よりも水分を含んでいるため、揚げた時に剣立ちが良く、軽やかな食感が生まれます。もし家庭に乾燥パン粉しかない場合は、霧吹きでほんの少しだけ水分を与えてから使うと、生パン粉に近いサクサク感を再現できますよ。
プロの火入れ!温度と時間で味が変わる
油の温度管理は、揚げ物における「心臓部」です。
170℃〜180℃を死守する
理想的な温度は170℃から180℃の間です。菜箸を入れて、細かい泡がシュワシュワっと勢いよく上がってくる状態が目安。
ここで大切なのは、一度にたくさんの牡蠣を入れすぎないこと。欲張って鍋いっぱいに投入すると、油の温度が急激に下がり、衣が油を吸ってベチャッとした仕上がりになってしまいます。鍋の表面積の半分から3分の1程度に留め、余裕を持って泳がせるように揚げましょう。
余熱を信じて引き上げる
揚げ時間は、牡蠣の大きさにもよりますが約2分から3分です。表面がきつね色になり、箸で触れた時に「カリッ」とした感触があれば、迷わず引き上げてください。
「中まで火が通っているか不安……」と長く揚げすぎると、せっかくの身が硬くなってしまいます。中心温度がしっかり上がれば、あとは余熱で十分。バットに立てかけるように並べて油を切ると、最後までサクサク感が持続します。
冷凍カキフライを「専門店」の味に格上げする裏技
忙しい日の強い味方、冷凍カキフライ。冷凍 カキフライをそのまま揚げても美味しいですが、少しの工夫で高級店の味に化けます。
最大のコツは「凍ったまま揚げる」こと。解凍しようとして室温に置くと、ドリップ(水分)が出てしまい、衣が剥がれる原因になります。
また、油が冷たい状態から入れて徐々に温度を上げていく「コールドスタート」に近い揚げ方をすると、表面だけ焦げて中が冷たいという失敗を防げます。最初は触らず、衣が固まってきたら裏返す。これだけで、冷凍食品とは思えないクオリティになりますよ。
タルタルソースだけじゃない?通な食べ合わせ
カキフライといえばタルタルソースが定番ですが、味変を楽しむことで満足度がさらにアップします。
- レモン×塩: 牡蠣本来の濃厚な磯の香りを引き立てる、最もシンプルな食べ方。ビタミンCが亜鉛の吸収を助けてくれるので、栄養学的にも理にかなっています。
- ウスターソース×和がらし: 昔ながらの洋食屋さんスタイル。スパイシーなソースにツンとした辛味が加わり、ご飯が止まらなくなります。
- 自家製タルタル: マヨネーズに、固ゆで卵のみじん切り、玉ねぎ、そして「いぶりがっこ」や「しば漬け」を細かく刻んで混ぜてみてください。食感のアクセントが加わり、一気にプロの味に。
東京で絶対に食べておくべき「カキフライの名店」10選
お家での作り方をマスターしたら、次はプロが作る究極の一皿を体験してみませんか? 東京には「カキフライの聖地」と呼ばれるお店が点在しています。
1. わぶ(新宿)
新宿でカキフライといえばここ。ここの最大の特徴は、複数の牡蠣を一つの衣にまとめて揚げる「爆弾」スタイル。圧倒的なボリュームと、溢れ出すエキスの量に驚愕すること間違いなしです。
2. 洋食GOTOO(大塚)
多くのファンに愛される大塚の名店。こちらでは、旬の時期に大粒の牡蠣を厳選。丁寧な下処理を感じさせる雑味のない味わいと、サクッと軽い衣のバランスが絶妙です。
3. とんかつ小田保(豊洲・築地)
市場関係者が通うお店だけあって、鮮度は抜群。カキフライはもちろんですが、バターでソテーした「カキバター」も絶品です。フライとバター焼きの「合盛り」で贅沢なランチを楽しめます。
4. 三友(人形町)
爆弾型カキフライのもう一つの聖地。1つのフライの中に、5〜7粒もの牡蠣がぎっしり詰まっています。割った瞬間に湯気と共に広がる海の香りは、まさに至福です。
5. ぽん多本家(上野)
明治時代から続く老舗。職人技が光る「低温揚げ」のカキフライは、衣が白っぽく上品。素材の味を最大限に引き出した、極上の逸品です。
6. かつぎ(銀座)
銀座の路地裏に佇む名店。ここのカキフライは、一つひとつが驚くほど大粒で美しく整っています。自家製のタルタルソースとの相性も完璧で、大人のためのカキフライと言えます。
7. 煉瓦亭(銀座)
洋食の歴史を語る上で外せないレジェンド。カキフライ発祥の地とも言われるこちらでは、クラシックで王道なスタイルが楽しめます。歴史を噛みしめながら味わいたい一皿です。
8. 七條(神田)
ミシュランガイドにも掲載された実力派。もともとはフレンチ出身のシェフが手掛ける洋食店で、カキフライの衣の細やかさと揚げ具合は芸術の域。
9. たけだ(四ツ谷)
四ツ谷駅近くで行列が絶えない名店。大粒のカキフライは非常にジューシーで、一口食べるごとに元気が湧いてくるような力強い味わいです。
10. 菩提樹(水道橋)
和の雰囲気の中で頂くカキフライ。厳選された大粒の牡蠣を使用し、サクサクの生パン粉で丁寧に揚げられています。落ち着いた空間でじっくり味わいたい方におすすめです。
美味しいカキフライの作り方!サクサクに揚げるプロのコツと東京の名店10選を解説のまとめ
ここまで、カキフライを美味しく作るためのテクニックと、訪れるべき名店についてご紹介してきました。
自宅で作る際は、「加熱用」の牡蠣を選び、片栗粉で丁寧に洗い、水分を完全に拭き取る。 そして、バッター液を使い、170℃〜180℃の油で余熱を活かして揚げる。 この基本さえ押さえれば、あなたの家の食卓は、行列のできる洋食店に早変わりします。
また、東京の名店を巡ることで、「本物の火入れ」や「こだわりの衣」を肌で感じるのも素晴らしい経験になります。お店ごとの個性を知ることで、さらにカキフライの世界が深く、楽しくなるはずです。
栄養たっぷりで、心まで満たしてくれるカキフライ。ぜひ今夜、あるいは次の休日に、この冬一番の「美味しいカキフライ」を堪能してみてくださいね!

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