「最近、酒屋やネットショップでよく見かける浮世絵ラベルのウイスキー、あれって何?」
「世界的な賞を獲っているみたいだけど、実際においしいの?」
ジャパニーズウイスキーの人気が過熱し、山崎や白州が手に入りにくくなっている今、がぜん注目を集めているのが鳥取県・倉吉蒸留所のウイスキー松井シリーズです。
しかし、ネットで検索してみると「炎上」や「偽物」といった、少し気になる不穏なキーワードが目に飛び込んでくることもありますよね。これから飲んでみたいと思っている方や、贈り物に考えている方にとっては、本当の評判がどうなのか非常に気になるところでしょう。
今回は、ウイスキー松井の立ち位置から、過去の騒動の真相、そして今まさに世界で評価されている理由までを、忖度なしで徹底的に解説していきます。
ウイスキー松井を手がける「倉吉蒸留所」とはどんな場所?
まず知っておきたいのが、造り手である松井酒造についてです。松井酒造は鳥取県倉吉市に拠点を置く老舗の酒蔵。もともとは江戸時代から続く焼酎や日本酒の製造を行っていましたが、2016年にウイスキー製造免許を取得し、倉吉蒸留所を稼働させました。
秀峰・大山の恵みを受けた水質
ウイスキー造りにおいて、命とも言えるのが「水」です。倉吉蒸留所が位置する場所は、中国地方の最高峰である大山(だいせん)山系の豊かな自然に囲まれています。ここで採れる湧き水は非常に質が高く、まろやかな口当たりが特徴。これが、ウイスキー松井が持つ雑味の少ないクリアな味わいの土台となっています。
短期間で世界を驚かせた実力
特筆すべきは、蒸留所としての歴史は浅いながらも、世界的なコンペティションで数々の賞を総なめにしている点です。サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SFWSC)やワールド・ウイスキー・アワード(WWA)など、プロのテイスターがブラインドで審査する舞台で、最高金賞を受賞する銘柄を次々と輩出しています。この事実は、単なるブームではなく、確かな技術力が背景にあることを証明しています。
過去に囁かれた「炎上」と「ジャパニーズウイスキー」の定義
ウイスキー松井を語る上で避けて通れないのが、数年前にウイスキー愛好家の間で巻き起こった議論、いわゆる「炎上」騒動です。なぜ、これほどまでに叩かれた時期があったのでしょうか。
ラベル表示と原酒の出自
かつての日本には、ウイスキーの表示に関する厳格な法的ルールがありませんでした。そのため、海外から輸入したバルク原酒を日本国内で少し混ぜたり、あるいは国内で瓶詰めしたりしただけで「ジャパニーズウイスキー」と名乗ることが可能だったのです。
松井酒造が初期にリリースした製品も、自社蒸留ではない海外原酒が含まれていた可能性が指摘されました。それにもかかわらず、「倉吉」や「鳥取」といった地名を冠し、あたかも100%日本で蒸留されたかのようなブランディングを行っていたことが、コアなファンからの反発を招いたのです。
業界基準の策定と現在の変化
この問題は業界全体で議論され、2021年に「日本ウイスキー造り手組合」によって、ジャパニーズウイスキーと名乗るための自主基準が定められました。
- 日本国内の蒸留所で蒸留されていること
- 原酒は3年以上日本国内で貯蔵されていること
- 日本国内の水を使用すること
現在のシングルモルト松井シリーズは、この基準をクリアした「自社蒸留原酒」を使用しています。過去の批判を真摯に受け止め、設備投資を行い、自社での一貫生産に力を入れることで、信頼を回復させてきた経緯があるのです。
シングルモルト松井の主要ラインナップと味わい
それでは、実際に今手に入るウイスキー松井にはどのような種類があるのか、代表的な3つの銘柄を詳しく見ていきましょう。
松井 ミズナラカスク
日本特有のオーク材であるミズナラ樽で熟成させた一本です。ラベルには葛飾北斎の「富嶽三十六景」が描かれており、見た目のインパクトも抜群。
味わいは、ミズナラ特有の「白檀(びゃくだん)」や「伽羅(きゃら)」を思わせるオリエンタルな香りが主役です。口に含むと、ウッディな渋みとバニラのような甘みがバランスよく広がり、非常に上品な余韻が楽しめます。
松井 サクラカスク
非常に珍しい桜の木の樽で熟成させた銘柄です。こちらもラベルには優美な美人が描かれ、ジャパニーズらしさを強調しています。
香りはまさに「春」を感じさせるフローラルな華やかさ。桜餅のような甘酸っぱいニュアンスがあり、女性やウイスキー初心者の方からも「飲みやすい」と高い評価を得ています。少し加水すると、より香りが開いて華やかさが増します。
松井 ピーテッド
泥炭(ピート)を焚き込んで乾燥させた麦芽を使用した、スモーキーなタイプです。
アイラモルトのような強烈なピート感というよりは、大山の水の柔らかさが活きた、マイルドでクリーンな煙たさが特徴。スモーキーさの中にフルーティーな甘みも見え隠れし、ハイボールにすると食中酒として最高のパフォーマンスを発揮します。
リアルな評判は?「まずい」という噂の正体を探る
ネットの一部で見かける「まずい」という評価。これには2つの側面があると考えられます。
一つは、先述した「過去のイメージ」によるバイアスです。中身を味わう前に、企業の姿勢に懐疑的な層がネガティブな評価を下しているケース。これは、現在の自社蒸留品の品質とは切り離して考える必要があります。
もう一つは、熟成年数の短さに由来する「若さ」です。倉吉蒸留所は新しい蒸留所であるため、超長期熟成の原酒はまだ多くありません。そのため、人によってはアルコールの刺激(ピリピリ感)を強く感じ、「未熟だ」と判断してしまうことがあるようです。
しかし、その「若さ」を逆手に取ったフレッシュな果実味や、個性的な樽使い(ミズナラやサクラ)は、熟成感だけでは語れない新しいウイスキーの楽しみ方を提示しています。実際に国際的なコンペティションでプロが絶賛しているのは、この「短期間での熟成技術」と「原酒の質」が評価されているからに他なりません。
「倉吉」「鳥取」「山陰」との違いを知っておこう
松井酒造には、ウイスキー松井以外にもいくつかのブランドラインが存在します。これらを混同すると、期待していた味と違うと感じてしまうかもしれません。
- 松井(THE MATSUI): 倉吉蒸留所で蒸留された原酒のみを使用した「シングルモルト」。ブランドの最上位ラインです。
- 倉吉(Kurayoshi): 複数の蒸留所のモルト原酒をブレンドした「ピュアモルト」。非常にバランスが良く、安定したクオリティを誇ります。
- 鳥取(Tottori): モルトとグレーンをブレンドした「ブレンデッド」。より軽やかで、日常的に楽しむのに向いています。
- 山陰(San-in): コストパフォーマンスを重視したブレンデッド。ハイボール専用として人気があります。
もし「倉吉蒸留所の真の実力を知りたい」と思うのであれば、まずはシングルモルト松井から試してみることを強くおすすめします。
ウイスキー松井を最高に美味しく飲むための方法
せっかくのこだわりが詰まったウイスキー松井。その個性を最大限に引き出す飲み方をご紹介します。
ストレートで香りの個性を堪能
ミズナラカスクやサクラカスクは、まずストレートでその「樽の香り」をダイレクトに感じてみてください。グラスに注いでから少し時間を置くと、香りが空気と混ざり合い、より甘いニュアンスが強調されます。チェイサー(お水)を用意して、交互に口に含むのがプロの楽しみ方です。
贅沢なハイボールで爽快に
ピーテッドや鳥取金ラベルなどは、ハイボールにすると化けます。強炭酸で割り、レモンピールを軽く絞れば、大山山系の水の良さが引き立ち、驚くほどスッキリとした味わいになります。浮世絵ラベルを眺めながら飲むハイボールは、視覚的にも満足度が高いはずです。
和菓子とのペアリング
意外かもしれませんが、サクラカスクは「あんこ」を使った和菓子と非常に相性が良いです。桜の香りと小豆の甘みが口の中で溶け合い、日本酒造りのバックボーンを持つ松井酒造ならではの和のハーモニーを感じることができます。
贈り物としても喜ばれる理由
ウイスキー松井が、なぜこれほどまでにギフトとして選ばれているのか。そこには明確な理由があります。
圧倒的なパッケージデザイン
「神奈川沖浪裏」や「赤富士」など、誰もが知る浮世絵をあしらったラベルは、棚に置いておくだけでも絵になります。特に海外の方へのプレゼントや、お祝い事の席での一本として、これほど分かりやすく「日本」を感じさせるボトルは他にありません。
安定した供給と入手しやすさ
現在、多くのジャパニーズウイスキーが枯渇状態で、定価で買うことはほぼ不可能です。しかし、松井酒造は積極的な生産体制を整えているため、ウイスキー松井は比較的手に入りやすい状況にあります。「美味しいウイスキーを贈りたいけれど、転売価格では買いたくない」という賢い消費者にとって、非常に頼もしい存在なのです。
まとめ:ウイスキー松井の評判は?倉吉蒸留所の特徴や種類、炎上の真相まで徹底解説!
ここまで、ウイスキー松井にまつわる様々な情報をお伝えしてきました。
かつての不透明な表示に関する騒動は、今や過去のもの。現在の倉吉蒸留所は、自社蒸留へのこだわりと、ミズナラやサクラといった日本独自の樽を使いこなす技術で、世界中のファンを魅了しています。
ネットの噂や古い情報だけに惑わされるのはもったいないことです。もしあなたが「今の日本のウイスキー」を知りたいのであれば、ぜひ一度ウイスキー松井をグラスに注いでみてください。
そこには、大山の清らかな水と、鳥取の風土、そして情熱を持って原酒と向き合う造り手の想いが、確かな味わいとなって凝縮されています。まずは一本、直感で選んだラベルから、その新しい歴史を味わってみてはいかがでしょうか。

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