スーパーのウイスキー棚で、少しレトロで重厚なボトルを見かけたことはありませんか?それがロバートブラウンです。
最近のウイスキーブームで、ジャパニーズウイスキーの価格は高騰し、手に入りにくい銘柄も増えました。そんな中で、1,000円台という手に取りやすい価格を守り続けているのがこの一本です。
「安かろう悪かろう」なんて思ったら大間違い。実はこのウイスキー、日本の飲料メーカーの雄であるキリンが、並々ならぬ情熱を注いで作り上げた「伝説の第一号」なのです。
今回は、ウイスキー好きなら一度は飲んでおきたいロバートブラウンの歴史や味の評価、そして最高に美味しい飲み方まで、その魅力を深掘りしていきます。
キリンのプライドが詰まった「日本人のための」第1号
ロバートブラウンが誕生したのは1974年のこと。当時のキリン・シーグラム(現在のキリンディスティラリー)が、満を持して発売した初めての国産ウイスキーです。
この背景には、当時のウイスキー輸入自由化という大きな時代の波がありました。海外の強力なブランドが日本になだれ込んでくる中、「日本人の口に合う、本当に美味しいウイスキーを作らなければならない」という強い危機感と使命感があったのです。
開発にあたっては、シーグラム社の世界最高峰の技術を導入。ブレンダーたちはスコットランドやアメリカへ渡り、徹底的に技術を磨きました。試行錯誤の末に作られたサンプルは、なんと93種類。その中から選び抜かれた「黄金のブレンド」こそが、ロバートブラウンだったのです。
43度という「飲み応え」へのこだわり
最近の同価格帯のウイスキーを見てみると、その多くがアルコール度数40%に設定されています。しかし、ロバートブラウンは発売当時から「43%」という度数にこだわり続けています。
このわずか3%の差が、実は大きな違いを生みます。度数が高いということは、それだけ原酒の成分が濃く、加水しても味が崩れにくいというメリットがあるのです。
特に、水割りやハイボールにして楽しむことが多い日本の食卓において、この「3%の余裕」が、最後までウイスキーらしいコクを感じさせてくれる秘訣になっています。
テイスティング:甘やかな香りとキレのある後味
それでは、実際にロバートブラウンの蓋を開けてみましょう。グラスに注いだ瞬間に広がる香りは、想像以上に華やかです。
香りの特徴:バニラとフルーティーの共演
まず感じるのは、バニラやキャラメルのような甘い香り。続いて、熟したメロンやアプリコットを思わせるフルーティーなエステル香が追いかけてきます。
この香りの構成は、非常にバランスが良いのが特徴です。安価なウイスキーにありがちな、ツンとしたアルコールの刺激臭が抑えられており、優しく鼻をくすぐります。
味わいの特徴:シリアル感と滑らかな口当たり
口に含むと、まず穀物(シリアル)のような香ばしさと、ウエハースのような優しい甘みが広がります。ボディはライトで軽やかですが、43度ならではのしっかりとした芯があります。
後半にかけては、微かな樽由来のビターさが顔を出します。これが全体を程よく引き締め、甘ったるさを残さない「キレの良さ」を作り出しています。
余韻:スッキリと消えていく心地よさ
余韻は決して長くはありません。しかし、それがかえって「もう一口」を誘います。スッと消えていく後味は、食事の邪魔をしない設計になっている証拠です。
迷ったらこれ!おすすめの飲み方ガイド
ロバートブラウンの最大の魅力は、その汎用性の高さにあります。どんな飲み方でも高いパフォーマンスを発揮してくれますが、特におすすめの3つをご紹介します。
1. 黄金比の水割り(公式推奨)
キリンが公式に推奨しているのが、水割りです。ウイスキー1に対して、ミネラルウォーターを2から3の割合で混ぜます。
加水することで香りが一気に開き、ストレートでは隠れていたフローラルな一面が顔を出します。冷たく冷やして飲むと、驚くほどまろやかで、まるでお出汁のように食事に寄り添ってくれます。
2. 骨太なハイボール
最近流行りのハイボールにするなら、少し贅沢にウイスキーを多めに入れるのがコツです。
ロバートブラウンは度数が高いので、炭酸で割ってもウイスキーの味がぼやけません。レモンを添えても良いですが、まずはそのまま、ウイスキー本来のフルーティーさと炭酸の爽快感を楽しんでみてください。
3. トワイスアップで香りを堪能
ウイスキーと常温の水を1対1で混ぜる「トワイスアップ」。
この飲み方をすると、ロバートブラウンのブレンディング技術の高さを一番よく感じることができます。アルコールの刺激が和らぎ、バニラや果実の香りが最大限に強調されます。
他の銘柄と何が違う?差別化のポイント
よく比較されるのは、サントリーの「角瓶」やニッカの「ブラックニッカ スペシャル」でしょう。これらとの違いは、どこにあるのでしょうか。
それは、ロバートブラウンが持つ「クリアな透明感」にあります。
角瓶が持つ重厚なコクや、ブラックニッカが持つピート(泥炭)の風味とは一線を画し、ロバートブラウンはどこまでも「クリーンで華やか」です。重すぎないため、ウイスキー初心者の方でも「飲みやすい」と感じるはずです。
また、現在は「ワールドブレンデッドウイスキー」として、イギリス、アメリカ、カナダ、そして日本の自社原酒を巧みにブレンドしていることを公表しています。これは、世界中の良い原酒を選び抜き、日本の感性で仕上げるという、キリンの誠実なモノづくりの姿勢の表れでもあります。
現代のウイスキーファンにこそ飲んでほしい理由
今、ウイスキーを取り巻く環境は大きく変わりました。高級なシングルモルトを追い求めるのも楽しいですが、日常に溶け込む「普段使いの銘柄」を再発見するのも、また一興です。
ロバートブラウンは、日本のウイスキーの歴史を支えてきた存在でありながら、今なお色褪せないモダンな味わいを持っています。
- 1,000円台で買えるコスパの良さ
- ハイボールでも崩れない43度の芯
- 歴史に裏打ちされた安心感
これだけの条件が揃っている銘柄は、そう多くありません。
ウイスキー ロバート ブラウンを今夜の晩酌に選ぶメリット
最後に、ロバートブラウンを家飲みのラインナップに加えるメリットをまとめましょう。
第一に、どんな料理とも相性が良いことです。和食ならお刺身や焼き魚、洋食ならハンバーグやフライなど、家庭料理全般にフィットします。
第二に、気兼ねなく飲めることです。高価なウイスキーだと、どうしても1杯の値段を計算してしまいがちですが、この価格帯なら自分の好きな濃さで、自由なスタイルで楽しめます。
第三に、歴史を感じられることです。グラスを傾けながら、1970年代の技術者たちが、日本の未来のために理想の味を追い求めた姿を想像してみてください。その一杯が、いつもより少し深く感じられるはずです。
もし、あなたがまだロバートブラウンを飲んだことがない、あるいは「昔飲んでそれっきり」だとしたら、ぜひ一度手に取ってみてください。
今のあなたの舌なら、その完成度の高さに驚くかもしれません。
長く愛され続けるには、必ず理由があります。ウイスキー ロバート ブラウンが、なぜ50年近くも棚に並び続けているのか。その答えは、グラスの中の琥珀色の液体が、雄弁に物語ってくれるでしょう。

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