「ウイスキーを始めてみたいけれど、酒屋さんの棚に並んでいるボトルのラベルを見ても、呪文みたいでさっぱりわからない……」
そんな悩み、実はウイスキー好きなら誰もが一度は通る道なんです。英語やゲール語が並び、数字や複雑な単語が散りばめられたウイスキーのラベル。でも、実はこれ、造り手から私たちへの「最高の招待状」だって知っていましたか?
ラベルに書かれた情報を少し紐解くだけで、そのボトルが甘いのか、スモーキーなのか、はたまたガツンと力強いのか、飲む前に手に取るだけでイメージできるようになります。
今回は、初心者から一歩踏み出したい方に向けて、ウイスキーのラベルに隠された秘密を余すことなく解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたもショップの棚を見るのが楽しくて仕方がなくなるはずです。
そもそもウイスキーのラベルには何が書かれているの?
ウイスキーのラベルは、いわばそのお酒の「履歴書」です。
産地、原材料、熟成期間、そして造り手のこだわり。それらが法律に基づいた厳格なルールで記載されています。
まず、ラベルの中で最も目立つのは「銘柄名(ブランド名)」です。
山崎やザ・マッカランのように蒸留所の名前がそのまま冠されているものもあれば、ジョニーウォーカーのように、複数の蒸留所の原酒をブレンドしたブランド名である場合もあります。
ここを確認するのが第一歩ですが、本当に面白いのはその周りに小さく書かれた文字たちなんです。
ラベルから読み解く「ウイスキーの種類」の違い
ラベルのどこかに必ず書いてある「カテゴリー」。これが味の方向性を決める最大のヒントになります。
シングルモルト(Single Malt)
「単一の蒸留所」で、「大麦麦芽(モルト)」だけを原料にして造られたウイスキーです。
その蒸留所特有の個性がダイレクトに表れるため、非常にキャラクターがはっきりしています。「個性を楽しみたい」という方は、まずここをチェックしましょう。
ブレンデッド(Blended)
複数の蒸留所のモルトウイスキーと、トウモロコシなどを原料にしたグレーンウイスキーを混ぜ合わせたものです。
世界で最も飲まれているカテゴリーで、シーバスリーガルなどが有名です。味わいがマイルドでバランスが良く、初心者の方でも親しみやすいのが特徴です。
バーボン(Bourbon)
アメリカのケンタッキー州を中心に造られるウイスキー。ラベルに「Bourbon Whiskey」とあれば、原料の51%以上にトウモロコシが使われています。
ジムビームやメーカーズマークのように、力強いバニラの香りとキャラメルのような甘みが楽しめる、独特のジャンルです。
熟成年数の「数字」が教えてくれること
ラベルに大きく書かれた「12年」「18年」といった数字。これは単に「古いから高い」というだけではありません。
ウイスキーのルールとして、**「ラベルに記載する年数は、そのボトルに入っている中で最も若い原酒の熟成年数でなければならない」**というものがあります。
例えば「12年」と書かれたボトルに、20年熟成の原酒が少し混ざっていたとしても、表記は「12年」になります。逆に、たった1滴でも5年熟成のものが混ざれば、それは「12年」とは名乗れません。
最近では「NAS(ノン・エイジ・ステートメント)」と呼ばれる、年数表記のないボトルも増えています。知多などがその一例です。
これらは、熟成年数に縛られず、ブレンダーが「今、最高の状態」と判断した若い原酒と熟成原酒を自由に組み合わせたもので、非常にフレッシュでクリエイティブな味わいが楽しめます。
専門用語をマスターして通の選び方を知る
ラベルの隅っこに書かれた、ちょっと難しい専門用語。これを知っていると、ウイスキー選びの解像度がグッと上がります。
カスクタイプ(樽の種類)
ウイスキーの味わいの約7割は「樽」で決まると言われています。
- Sherry Cask(シェリーカスク): スペインのシェリー酒を貯蔵していた樽。レーズンのような濃厚な甘みと赤みがかった色が特徴です。
- Ex-Bourbon Cask(バーボンカスク): バーボンに使われた後の樽。バニラやハチミツのような香りがつきます。
- Mizunara Cask(ミズナラカスク): 日本固有のオーク。お香や白檀のようなオリエンタルな香りが生まれます。
カスクストレングス(Cask Strength)
通常、ウイスキーはボトリング前に水を加えてアルコール度数を40〜43%程度に調整します。
しかし、アベラワーなどの一部のボトルには、水を一切加えず、樽の中の度数のまま詰められたものがあります。これがカスクストレングスです。50〜60%という高い度数ですが、原酒本来の爆発的なエネルギーを体感できます。
ノンチルフィルタード(Non-Chill Filtered)
ウイスキーは冷やすと成分が固まって白濁することがあります。これを防ぐために冷却濾過(チルフィルター)を行うのが一般的ですが、あえてそれを行わないのが「ノンチルフィルタード」です。
旨味成分や油分がそのまま残っているため、口当たりが非常にクリーミーで濃厚になります。
綴りの違いに注目!「Whisky」と「Whiskey」
実は「ウイスキー」の英語表記には2種類あります。
- Whisky: スコットランド、日本、カナダ
- Whiskey: アイルランド、アメリカ
なぜ「e」が入ったり入らなかったりするのか。それはかつて、アイルランドの蒸留所が、当時品質が不安定だったスコッチウイスキーと差別化するために、自社の製品に「e」を付け足して「うちのは別物だよ」と主張した歴史の名残と言われています。
今では、ラベルの綴りを見るだけで、そのウイスキーがどの国の伝統を汲んでいるのかが分かるようになっています。
飲み終わった後も楽しい!ラベルの保存方法
お気に入りの1本に出会えたら、そのラベルを記念に残しておきたいものですよね。
しかし、ウイスキーのラベルは強力な糊で貼られていることが多く、無理に剥がそうとすると破れてしまいます。
おすすめは、飲み終わった空き瓶にぬるま湯を張り、しばらく放置して糊を浮かせる方法です。シールタイプのものは、ドライヤーで軽く温めると剥がれやすくなります。
最近では、ワイン用と同じラベルコレクターという粘着シートを使って、表面の紙だけを綺麗に剥がし取るアイテムも人気です。
スクラップブックに貼って、その時の味の感想を書き添えれば、あなただけの「ウイスキー図鑑」が出来上がります。
ウイスキーのラベルの読み方を徹底解説!専門用語の意味や種類、選び方のコツまで
ここまで、ウイスキーのラベルに隠された情報の読み解き方をご紹介してきました。
最初はただのアルファベットの羅列に見えたラベルも、ルールを知れば造り手の情熱が伝わってくる「物語」に見えてきませんか?
「12年熟成だから落ち着いた味かな」「シェリー樽を使っているからデザート代わりにしよう」「カスクストレングスだから今日は少しずつ味わおう」
そんなふうにラベルと対話しながらボトルを選ぶ時間は、ウイスキーという趣味における至福のひとときです。
次にショップへ足を運んだ際は、ぜひボトルの裏表をじっくりと眺めてみてください。きっと、今のあなたにぴったりの「運命の1本」が、ラベルを通じて語りかけてくれるはずです。
もし「このラベルのこの単語はどういう意味?」と迷ったら、またこの記事を読み返してみてくださいね。素敵なウイスキーライフを!

コメント