「だるま」の愛称で親しまれ、日本の食卓やバーのカウンターで長く愛されてきたウイスキー、サントリー オールド。
黒い丸みを帯びたボトルを見かけると、どこか懐かしい気持ちになる方も多いのではないでしょうか。かつては「出世したら飲む酒」の代名詞であり、高度経済成長期の日本を支えたビジネスマンたちの憧れでもありました。
しかし、最近では「古い時代のウイスキー」「味が重そう」といったイメージを持たれがちなのも事実です。中にはネット上の「まずい」という極端な評価を目にして、手に取るのをためらっている方もいるかもしれません。
結論からお伝えしましょう。サントリー オールドは、現在のジャパニーズウイスキー市場において、最もコストパフォーマンスに優れた「隠れた名作」といっても過言ではありません。
この記事では、ウイスキー初心者からかつてのファンまで、誰もが納得するオールドの真実を徹底的に掘り下げていきます。その歴史から、気になる味の評価、そして最高の一杯を楽しむための飲み方まで、余すことなくお届けします。
かつての憧れ「だるま」の歩みと今
1950年に誕生したサントリー オールドは、戦後日本の復興と共に歩んできました。当時は非常に高価な贅沢品であり、誰もが気軽に飲めるものではありませんでした。
しかし、1980年代には年間販売数量が1,000万ケースを超え、「世界で最も売れたウイスキー」としてギネス記録に迫るほどの社会現象を巻き起こします。テレビCMで流れる小林亜星氏作曲の「夜がくる」のメロディは、今でも多くの日本人の記憶に刻まれています。
時代は流れ、現在はサントリー 角瓶がハイボールブームを牽引していますが、オールドも決して立ち止まってはいません。実は、時代に合わせてその中身は進化し続けているのです。
現在のオールドは、山崎蒸溜所のシェリー樽原酒をキーモルトとして贅沢に使用しています。かつての「重厚すぎる」印象を少しずつ整理し、現代の食卓にも合う「まろやかで華やかな」味わいへとブラッシュアップされているのが特徴です。
気になる評価「まずい」という噂の真相とは?
検索エンジンで検索すると、たまに目にするのが「オールド まずい」というキーワード。これにはいくつかの理由が考えられますが、決して品質が低いわけではありません。
まず一つ目は、個性の強さです。サントリー オールドはシェリー樽由来の甘みと、木の実のような芳醇な香りが特徴です。そのため、サントリー 角瓶のようなドライでキレのある味に慣れている人にとっては、少し「重い」「甘すぎる」と感じることがあるようです。
二つ目は、飲み方のミスマッチです。オールドはアルコール度数が43%と、一般的なウイスキーよりやや高めに設定されています。そのため、開栓直後にストレートで飲むと、アルコールの刺激や樽由来の渋み(タンニン)を強く感じてしまうことがあります。
三つ目は、保存状態の影響です。もし古い実家から出てきた数十年物のオールドを飲んで「まずい」と感じたのなら、それは経年劣化や保管状況による変質の可能性があります。
現行のサントリー オールドを適切な方法で飲めば、2,000円台とは思えないほどリッチな体験が待っています。それは決して、一部の噂にあるような「まずい酒」ではないことを断言します。
ウイスキーのプロも唸る!オールドの味わいを解剖する
では、実際にサントリー オールドをグラスに注いだ時、どのような感動が待っているのでしょうか。
まず、色合いは深みのある琥珀色。グラスを回すと、とろりとした粘性が感じられ、熟成感の強さが伝わってきます。
香りの主役は、なんといってもレーズンやドライフルーツを思わせる甘い果実香。その奥に、バニラやはちみつ、そして少し焦がしたキャラメルのような香ばしさが重なります。これがシェリー樽原酒が生み出す、オールド最大の魅力です。
口に含むと、驚くほどまろやかな質感が広がります。最初は濃厚な甘みがやってきますが、中盤からウイスキーらしいウッディな渋みが顔を出し、味わいを引き締めてくれます。この「甘みと渋みのバランス」こそが、和食の「出汁」に近い感覚を抱かせる理由かもしれません。
余韻は長く、心地よい温かさが喉元に残ります。飲み終えた後のグラスを嗅ぐと、まだ甘い香りが残っているほど、香りの密度が高いウイスキーです。
至福のひと時を作る!オールドの美味しい飲み方
サントリー オールドの真価を発揮させるには、飲み方のチョイスが重要です。気分やシチュエーションに合わせて、以下のスタイルを試してみてください。
一番のおすすめは「ロック」です。
大きな氷を一つ入れたグラスにオールドを注ぎます。最初は濃厚な味わいを楽しみ、氷が少しずつ溶けて加水が進むにつれて、香りが一気に開いていく過程を堪能してください。冷やされることでアルコールの角が取れ、まろやかさが際立ちます。
次に試してほしいのが「ホットウイスキー」です。
耐熱グラスにオールドを注ぎ、2倍から3倍のお湯を加えます。立ち上る湯気と共に、シェリー樽の甘い香りが部屋中に広がります。冬の夜、寝る前のリラックスタイムにはこれ以上の贅沢はありません。
「ハイボール」にするなら、少し濃いめが鉄則です。
最近主流の「1:4(ウイスキー1に対して炭酸4)」だと、オールドの繊細な甘みが炭酸に負けてしまうことがあります。「1:3」くらいの割合で、レモンピールを軽く絞ると、リッチで満足感のあるハイボールに仕上がります。
意外な楽しみ方として「トワイスアップ」も外せません。
ウイスキーと常温の水を1:1で割るこの方法は、プロのテイスターも行う飲み方です。水を一滴入れるだけで、隠れていたフルーティーな香りが爆発的に広がり、ストレートでは強すぎた刺激がスッと消えていきます。
サントリーのラインナップで比較するオールドの立ち位置
サントリーのブレンデッドウイスキーには、他にも有名な銘柄がたくさんあります。それらと比較することで、サントリー オールドの個性がより鮮明になります。
まず、サントリー 角瓶との比較。角瓶は非常にドライでスッキリした味わい。ソーダ割りに特化した設計です。一方、オールドは「じっくり味わう」ことに向いており、より贅沢なコクを求めるならオールドに軍配が上がります。
次に、サントリー スペシャルリザーブ。リザーブは白州モルトをキーモルトとしており、青リンゴのようなフルーティーで軽快な印象。対するオールドは山崎モルトのシェリー樽由来のどっしりした甘さが特徴。好みの分かれ目ですが、重厚感を求めるならオールドです。
そして、上位モデルのサントリー ローヤル。ローヤルはより複雑で華やかな、贈答品としても完璧な完成度を誇ります。しかし、日常の晩酌として2,000円台という価格で買えるオールドの満足度は、ローヤルにも引けを取らないものがあります。
こうして見ると、オールドは「手頃な価格で、本格的な熟成感と甘みを味わえる」という、非常にバランスの良いポジションにいることがわかります。
和食とのペアリング:なぜオールドは食卓に合うのか
サントリー オールドが長年日本で愛されてきた最大の理由は、日本の食文化との親和性にあります。
洋風のウイスキーは肉料理やチーズに合うものが多いですが、オールドは不思議と「醤油」や「味噌」を使った料理と喧嘩しません。煮物、焼き魚、あるいはすき焼きといった、少し甘辛い味付けの料理と合わせると、ウイスキーのシェリー樽由来の甘みが料理の旨味を引き立ててくれます。
例えば、鯖の味噌煮と一緒にオールドのロックを流し込んでみてください。魚の脂をウイスキーの渋みがさっぱりと流しつつ、味噌のコクとウイスキーの甘みが口の中で見事に調和します。これは、ライトなハイボール用ウイスキーではなかなか味わえない、マリアージュの醍醐味です。
また、意外な組み合わせとして「あんこ」を使った和菓子との相性も抜群です。どら焼きや羊羹と一緒に、少しずつオールドを啜る。そんな大人のデザートタイムも、ぜひ試していただきたい楽しみ方の一つです。
ギフトとしてのサントリーオールド
もし、あなたが大切な方へのプレゼントに悩んでいるなら、サントリー オールドを選択肢に入れてみてください。
「もっと高いお酒の方がいいのでは?」と思うかもしれません。しかし、オールドには金額以上の「ストーリー」があります。特に50代、60代以上の方にとって、オールドは青春の象徴であり、懐かしの味です。「久しぶりにオールドを贈ります」というメッセージと共に渡せば、当時の思い出話に花が咲くことでしょう。
最近では、若者の間でも「レトロなボトルがおしゃれ」として再評価されています。あの黒い「だるま」ボトルは、インテリアとしても存在感を放ちます。時代を超えて愛される普遍的なデザインは、どんな世代に贈っても失礼になることはありません。
サントリーオールドの魅力を再発見!評価や美味しい飲み方、歴史を徹底解説
ここまで、サントリー オールドについて多角的に解説してきました。
かつての世界ナンバーワンウイスキーとしての歴史、シェリー樽原酒がもたらす豊潤な甘み、そして和食に寄り添う懐の深さ。知れば知るほど、このボトルがなぜ70年以上も販売され続けているのか、その理由が分かってきます。
もし、今まで「なんとなく古臭い」と避けていたのなら、それは非常にもったいないことです。現在のオールドは、洗練された技術によって、過去の栄光に甘んじない高い完成度を維持しています。
まずは、氷を一つ用意して、ロックでそのまろやかさを確かめてみてください。あるいは、少し肌寒い夜にホットウイスキーとして香りを愉しんでみてください。きっと、あなたのウイスキーライフに新しい定番が加わるはずです。
サントリー オールド。この黒いボトルの栓を開けるとき、そこには単なるお酒以上の、日本の文化と情熱が詰まった豊かな時間が待っています。
日常の何気ない晩酌を、少しだけ特別なものに変えてくれる。そんな「だるま」の魔法を、ぜひ今夜、あなた自身で体験してみてください。

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