「最近、スーパーの棚から富士山麓が消えた気がする……」「昔はもっと安かったよね?」
ウイスキー好きの間で、そんな会話が交わされるようになって久しいのが、キリンビールが誇る富士山麓です。かつては「コスパ最強の1,000円台ウイスキー」として、ハイボール愛好家の日常を支えてきた存在でした。
しかし、現在はその立ち位置がガラリと変わり、知る人ぞ知るプレミアムな銘柄へと進化を遂げています。
「結局、今は何が売っているの?」「味はどう変わったの?」という疑問を解決するために、今回は富士山麓の現状から、気になる終売の真相、そして今こそ味わいたい現行品の魅力まで、徹底的に深掘りしていきます。
富士山麓の「終売」の真相と現在買えるラインナップ
まず、多くの方が気になっている「富士山麓はもう売っていないのか?」という疑問からお答えします。
結論から言うと、かつて1,000円台で購入できた「富士山麓 樽熟原酒50°」は、2019年をもって惜しまれつつも終売となりました。原酒不足やブランド戦略の転換が理由とされていますが、あの力強い味わいが日常的に楽しめなくなったことに、ショックを受けたファンは少なくありません。
しかし、ブランド自体が消滅したわけではありません。現在は、より熟成感とブレンド技術を極めた「富士山麓 シグニチャーブレンド」が、フラッグシップモデルとして販売されています。
さらに、富士御殿場蒸溜所からは「富士」という名前を冠したシングルモルトやシングルグレーンも登場しており、富士山麓から始まったこだわりの系譜は、より高次元なラインナップへと受け継がれているのです。
世界が認めた「富士御殿場蒸溜所」のこだわりとは
富士山麓を語る上で欠かせないのが、静岡県にある「キリン 富士御殿場蒸溜所」の存在です。ここは世界でも非常に珍しい、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの両方を同じ敷地内で作っている蒸溜所なんです。
特に注目すべきは、グレーン原酒へのこだわりです。一般的なグレーンウイスキーは、モルトの引き立て役に徹する「サイレント・スピリッツ」と呼ばれますが、富士御殿場蒸溜所で作られるグレーンは主役級の味わいを持っています。
世界的なウイスキーの賞である「アイコンズ・オブ・ウイスキー(IOW)」において、日本人初のマスターディスティラー・オブ・ザ・イヤーを受賞した田中城太氏が、その膨大な原酒の中から最高の状態を見極めてブレンドを行っています。この贅沢な造りこそが、富士山麓が他のウイスキーと一線を画す理由です。
現行品「富士山麓 シグニチャーブレンド」の味と評価
現在、私たちが手に入れられるメインの銘柄が富士山麓 シグニチャーブレンドです。旧モデルに比べて価格が上がったため、「実際どうなの?」と慎重になっている方も多いでしょう。
このウイスキーの最大の特徴は「マチュレーションピーク(熟成の頂点)」を迎えた原酒のみを厳選している点です。アルコール度数は、ブランドのアイデンティティである「50度」を維持。これにより、加水しても香りがボヤけず、骨太な味わいを楽しめます。
香りを嗅いでみると、まず感じるのは洋梨やパイナップルのようなフルーティで華やかなアロマ。その奥に、黒糖やキャラメルを焼いたような香ばしい甘みが追いかけてきます。口に含むと、50度らしいアタックがありつつも、非常にシルキーで滑らかな舌触りに驚かされるはずです。
ネット上の評価でも、「旧モデルよりも雑味が消えて洗練された」「5,000円出す価値がある納得のクオリティ」といった、プレミアム化を肯定する意見が多く見られます。
「まずい」という噂はなぜ流れるのか?その理由を分析
検索エンジンなどで「富士山麓 まずい」というキーワードを見かけることがありますが、これは品質の問題というよりは、主に「期待値のズレ」や「飲み方」に起因しています。
- アルコールの強さに圧倒される富士山麓は度数が50度あります。一般的な40度のウイスキーと同じ感覚でストレートで飲むと、アルコールの刺激を強く感じすぎてしまい、「きつい=まずい」という印象を持ってしまうケースがあるのです。
- 旧モデルのコスパと比較してしまうかつての低価格路線を知っている人からすると、今の価格帯は「高級品」です。1,000円台の気軽さを求めていた層にとって、現在の本格的な造りは少しハードルが高く感じられるのかもしれません。
- 後継品との混同キリンが日常向けに発売したキリンウイスキー 陸を、富士山麓の直接的な代わりだと思って飲むと、その軽やかさに拍子抜けしてしまうこともあります。
これらはあくまで個人の好みの問題。正しくポテンシャルを引き出してあげれば、富士山麓はこれほど美味しいウイスキーはありません。
富士山麓のポテンシャルを最大限に引き出す飲み方ガイド
富士山麓の50度という高いアルコール度数は、どんな飲み方にも耐えうる「万能さ」を意味します。特におすすめの3つのスタイルをご紹介します。
- 圧倒的な満足感!贅沢ハイボール富士山麓と言えば、やはりハイボールは外せません。ウイスキー1に対して炭酸水3〜4の割合で作っても、味が全く薄まりません。フルーティな香りが炭酸の泡に乗って弾け、どんな食事にも合う爽快な一杯になります。
- 香りが開くトワイスアップウイスキーと常温の水を1対1で割る「トワイスアップ」は、ブレンダーがテイスティングする際にも用いられる飲み方です。水を加えることでアルコールの刺激が抑えられ、隠れていた蜂蜜やバニラのような甘い香りが一気に花開きます。
- ゆっくり楽しむオン・ザ・ロック大きめの氷に富士山麓を注げば、冷やされることでウイスキーのコクが引き締まります。氷が少しずつ溶けていく過程で、味わいが濃厚なものから徐々にまろやかへと変化していく「時間によるグラデーション」を楽しめるのがロックの醍醐味です。
毎日の晩酌には「キリン 陸」という選択肢も
もしあなたが、かつての富士山麓のような「手軽にガブガブ飲めるコスパ最高のウイスキー」を探しているなら、キリンウイスキー 陸を試してみるのが正解かもしれません。
キリンウイスキー 陸は、富士山麓と同じく富士御殿場蒸溜所の知見を活かして作られた、アルコール度数50度のブレンデッドウイスキーです。こちらはよりすっきりとした味わいで、ハイボールとしての適性が非常に高く、スーパーなどで2,000円以下で購入できるため、デイリーユースに最適です。
一方で、週末にじっくりと香りを楽しみたい、あるいは大切な人へのギフトを探しているという場合は、間違いなく富士山麓 シグニチャーブレンドをおすすめします。
まとめ:富士山麓ウイスキーの評価は?終売の噂や現行品の味、おすすめの飲み方を徹底解説!
かつての日常酒から、世界に誇るプレミアムなブレンデッドへと進化した富士山麓。
「終売」という噂に翻弄されがちですが、実際にはその魂はより磨かれ、富士山麓 シグニチャーブレンドという形で今も私たちの手元に届けられています。1,000円台では実現できなかった深い熟成感と、富士御殿場蒸溜所が誇るグレーン原酒のポテンシャル。これらを一度に味わえるこのボトルは、ジャパニーズウイスキーの現在地を知る上でも避けては通れない名作と言えるでしょう。
ハイボールで弾ける香りを楽しむもよし、ロックで重厚な甘みに浸るもよし。アルコール50度がもたらす「妥協なき味わい」を、ぜひあなたのグラスで確かめてみてください。
きっと、これまで持っていた富士山麓のイメージが、良い意味で大きく塗り替えられるはずです。

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