春の訪れとともに、スーパーや直売所に並び始める筍(タケノコ)。独特の香りとシャキシャキした食感は、まさにこの時期だけの贅沢ですよね。でも、いざ店頭で選ぼうとすると「どれが美味しいんだろう?」「えぐみが強いのは嫌だな」と迷ってしまうことはありませんか?
実は、筍選びには明確な「正解」があります。見た目の特徴さえ押さえれば、誰でも簡単に柔らかくて甘い、極上の筍を手に入れることができるんです。今回は、美味しい筍の見分け方から、失敗しないアク抜きの裏ワザ、そして最後まで美味しく食べ切る保存術まで、プロも実践する知識を余すことなくお伝えします。
美味しい筍の見分け方はここをチェック!失敗しない5つのポイント
美味しい筍を手に入れるためには、まず「鮮度」と「育ち具合」を見極める目が必要です。筍は土から顔を出した瞬間からどんどん成長し、それと同時にえぐみ(アク)が強くなってしまいます。店頭で手に取るべき個体の特徴を順番に解説していきますね。
1. 穂先の色が「黄色」いものを選ぶ
一番大切なポイントは、筍の先端部分である「穂先」の色です。ここが綺麗な「薄黄色」をしているものは、まだ土の中に埋まっている間に収穫された証拠。日光に当たっていないため、アクが少なく身が非常に柔らかいです。
逆に、穂先が「緑色」や「黒色」になっているものは、土から出て日光を浴びてしまったもの。光合成が始まっているため、繊維が硬くなり、えぐみも強くなっています。まずは穂先の「色」を最優先で確認しましょう。
2. 形は「ずんぐり」とした釣鐘型が理想
細長くひょろっとしているものよりも、根元が太くて「ずんぐり」と丸みを帯びているものを選んでください。太い筍は、それだけ養分をしっかり蓄えて育った証拠です。可食部が多く、食感もふっくらとしています。
3. 皮のツヤと産毛に注目
新鮮な筍の皮は、薄茶色で全体にツヤがあります。表面にある産毛がしっかり残っていて、しっとりとした手触りがあるものは収穫から時間が経っていません。皮が乾燥してカサカサしていたり、色が黒ずんで剥がれかかっているものは、鮮度が落ちている可能性が高いので避けましょう。
4. 根元の「赤いイボイボ」が小さくて少ないもの
筍の根元をよく見ると、小さな赤いブツブツ(吸根)があります。このイボが小さくて色が薄いものは、まだ成長の初期段階で身が柔らかい個体です。逆にイボが大きく、色が濃い紫色のようになっているものは、成長しすぎて繊維が硬くなっている目安になります。
5. 切り口が白く、瑞々しいもの
店頭に並んでいる筍の底部(切り口)をチェックしてみてください。ここが真っ白で瑞々しく、指で押すと水分がじわっと滲むようなものは最高に新鮮です。時間が経つにつれて切り口は茶色く変色し、乾燥してひび割れてきます。また、持った時にずっしりと重みを感じるものは水分をしっかり含んでいて、鮮度が保たれています。
筍の種類と旬を知って、一番美味しい時期を逃さない
美味しい筍の見分け方をマスターしたら、次は「種類」にも注目してみましょう。私たちが普段口にしているのは主に4つの種類があり、それぞれ旬の時期や味わいが異なります。
孟宗竹(モウソウチク)
3月下旬から5月にかけて出回る、最もポピュラーな種類です。肉厚で柔らかく、筍特有の甘い香りが強いのが特徴。炊き込みご飯や煮物、天ぷらなど、どんな料理にも合います。
淡竹(ハチク)
4月中旬から5月下旬頃に登場します。皮が赤紫色をしていて、孟宗竹よりも細身です。アクが非常に少なく、コリコリとした独特の食感が楽しめます。お浸しやサラダ感覚で食べるのもおすすめです。
真竹(マダケ)
5月から6月に出回る、少し遅咲きの種類です。皮に黒い斑点があるのが特徴で、少し苦味がありますが、味が濃くて力強い味わいです。メンマの材料としてもよく使われます。
根曲がり竹(ネマガリダケ)
5月下旬から6月、東北や信州などの寒い地域で採れる細い筍です。皮のまま焼いて食べる「焼き筍」は絶品で、山菜のような野性味あふれる香りが魅力です。
鮮度が命!えぐみを抑える「アク抜き」の基本とコツ
美味しい筍を手に入れたら、一刻も早く下処理を始めましょう。「筍は湯を沸かしてから買いに行け」と言われるほど、時間との勝負です。ここでは、えぐみを最小限に抑える基本の茹で方をご紹介します。
下準備:皮は剥かずに茹でるのが正解
まず、外側の泥をサッと洗い流します。次に穂先を斜めに大きく切り落とし、縦に1本、深さ2センチほどの切れ目を入れます。こうすることで火が通りやすくなり、後で皮を剥くのも簡単になります。この時、皮は全部剥かないのがポイントです。皮に含まれる成分が筍を柔らかくし、風味を逃さない役割を果たしてくれます。
茹でる時の必須アイテム:米ぬかと鷹の爪
大きな鍋に筍がしっかり浸かるくらいの水を入れ、そこに「米ぬか」を一掴みと「鷹の爪」を1、2本加えます。米ぬかのカルシウムがアクを吸着し、鷹の爪がえぐみを和らげてくれます。
もし手元に米ぬかがない場合は、米ぬかを常備しておくと便利ですが、急ぎの時は「お米のとぎ汁」や「生米」を大さじ2杯ほど入れるだけでも代用可能です。
じっくり茹でて、ゆっくり冷ます
強火にかけて沸騰したら、落とし蓋(またはアルミホイル)をして、弱火で1時間ほどじっくり茹でます。根元の太い部分に竹串がスッと通ればOKです。
ここで最大のポイントがあります。茹で上がったらすぐに火を止め、ゆで汁に浸かったままの状態で自然に冷ましてください。 急激に冷やしたり、すぐにお湯から出してしまうと、アクが抜けきりません。一晩(8時間程度)置いて完全に冷ますことで、えぐみがしっかり抜け、旨味が身に凝縮されます。
部位別!筍を最高に美味しく食べる活用術
一本の筍でも、場所によって柔らかさや食感が全く違います。部位に合わせた調理法を知ることで、一本丸ごと無駄なく楽しめます。
柔らかい「穂先」は繊細な料理に
先端の非常に柔らかい部分は、食感を楽しむ料理に最適です。
- お刺身(わさび醤油や酢味噌で)
- お吸い物の具
- 和え物(若竹和えなど)
適度な歯ごたえの「中央」は定番料理に
身が厚く、シャキシャキした食感が楽しめる中央部分は、どんな料理にも使いやすい万能部位です。
- 若竹煮(わかめとの煮物)
- 筍ごはん
- 天ぷら
- 八宝菜や青椒肉絲
硬めの「根元」は切り工夫で美味しく
繊維がしっかりしている根元は、切り方を工夫することで美味しく食べられます。繊維を断ち切るように「薄い半月切り」や「いちょう切り」にするのがコツです。
- 土佐煮(鰹節をたっぷり効かせて)
- 筑前煮
- すりおろして「筍しんじょ」にする
また、筍を切った時に現れる「白い粉のようなもの」は、チロシンというアミノ酸の一種です。これは脳の活性化や集中力を高める効果があると言われている栄養成分なので、カビと間違えて洗い流したりせず、そのまま食べて大丈夫ですよ。
余った筍はどうする?美味しさをキープする保存方法
アク抜きをした後の筍は、正しく保存すれば数日間は美味しさを保てます。
冷蔵保存の場合
密閉容器に筍を入れ、全体が浸かるくらいのたっぷりの水(真水)を張って冷蔵庫へ入れます。毎日水を取り替えれば、3〜4日は美味しく食べられます。
冷凍保存の場合
筍はそのまま冷凍するとスカスカの「す」が入ってしまい、食感が著しく悪くなります。冷凍する場合は、小さくカットしてから砂糖を少量まぶすか、だし汁と一緒にジップロックに入れて凍らせると、食感の変化を抑えられます。一番のおすすめは、あらかじめ味付けした「筍ごはんの素」の状態にして冷凍することです。これなら解凍して炊飯器に入れるだけで、いつでも春の味を楽しめます。
最近では便利な保存容器も増えていますね。保存容器 耐熱ガラスなどを使うと、冷蔵庫の中でも中身が見やすく、衛生的に管理できるので重宝します。
まとめ:美味しい筍の見分け方を知って春の食卓を彩ろう
いかがでしたか?春の短い期間しか出会えない筍だからこそ、最高の状態のものを選びたいですよね。
美味しい筍の見分け方をもう一度おさらいすると、
- 穂先が黄色いもの
- ずんぐり太っているもの
- 皮にツヤがあり、産毛が揃っているもの
- 根元のイボが小さく、赤いもの
- 切り口が白く、ずっしり重いもの
この5点をチェックするだけで、あなたの選ぶ筍は見違えるほど美味しくなるはずです。
手に入れた後は、なるべく早くアク抜きをして、ゆっくりと冷ますこと。この一手間が、家庭の食卓を料亭のような上品な味わいに変えてくれます。煮物、ごはん、天ぷらと、部位ごとの個性を活かした料理で、今だけの旬の味を存分に堪能してくださいね。
これから筍を買いに行く際は、ぜひこの「美味しい筍の見分け方」を思い出して、最高の1本を見つけ出してください!

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