「秋の味覚といえば?」と聞かれて、真っ先に「秋刀魚(さんま)」を思い浮かべる方は多いですよね。脂の乗った秋刀魚を塩焼きにして、大根おろしと一緒に頬張る瞬間はまさに至福のひとときです。
しかし、最近は不漁の影響もあって、スーパーで見かける秋刀魚のお値段も少し高め。せっかく買うなら、絶対にハズレを引きたくないというのが本音ではないでしょうか。
「どれも同じに見えるけれど、どれが美味しいの?」
「目が赤いのは鮮度が悪いの?」
「細い秋刀魚と太い秋刀魚、どっちが脂が乗っている?」
そんな疑問を抱えながら鮮魚コーナーで立ち止まっているあなたのために、今回はプロも実践している「本当に美味しい秋刀魚の見分け方」を徹底解説します。この記事を読めば、今日からスーパーの秋刀魚選びで迷うことはもうありません。
秋刀魚選びの基本は「脂の乗り」と「鮮度」を分けて考えること
まず知っておいてほしいのが、美味しい秋刀魚を見極めるには「脂が乗っているか」というポイントと、「鮮度が良いか」というポイントの2軸があるということです。
多くの人が「新鮮なら全部美味しい」と思いがちですが、実は鮮度が良くてもスマートすぎて脂が乗っていない個体もあれば、少し時間が経っていても元々の体格が良くて脂ノリが良い個体もいます。
理想は、その両方を兼ね備えた「太っていて、かつ新鮮な秋刀魚」です。では、具体的にどこをチェックすればいいのか、5つのステップで見ていきましょう。
1. 口先の色をチェック!鮮度のバロメーターは「黄色」
スーパーでパックに入った秋刀魚を手に取ったら、まずは「口先(下アゴの先端)」に注目してください。
ここが鮮やかな「黄色」をしていれば、それは水揚げされてから時間が経っていない、非常に新鮮な証拠です。秋刀魚は鮮度が落ちるにつれて、この黄色い部分が茶色っぽく変色し、やがて黒ずんでいきます。
なぜ口先が黄色いと新鮮なのかというと、秋刀魚の口先にある色素は非常にデリケートで、死後数日で消えてしまうからです。つまり、黄色がハッキリ残っている個体は、まだ「海の記憶」が残っているほど新鮮ということ。
逆に口先がくすんでいるものは、内臓(ワタ)が弱り始めている可能性があるため、塩焼きにしたときに苦味が強すぎたり、身が柔らかくなりすぎていたりすることがあります。まずは「黄色い口先」を探すのが、失敗しない第一歩です。
2. 「肩」の盛り上がり!脂の乗りは体型で決まる
次にチェックすべきは、秋刀魚の「肩」です。頭のすぐ後ろ、背中の部分がボコッと盛り上がっている個体を探してください。
これを専門用語で「肩が張っている」と言います。秋刀魚は、たっぷりと餌を食べて脂を蓄えると、背中から厚みが出てきます。横から見たときに頭が小さく見えるほど背中が盛り上がっているものは、全身に脂が回っている証拠です。
逆に、頭から尻尾までが一直線のようにスリムな秋刀魚は、まだ成長段階にあるか、十分に栄養を蓄えられていない個体です。焼いたときにパサつきやすいので、ジューシーな味わいを楽しみたいなら、とにかく「猫背気味でガッチリした体格」の秋刀魚を選びましょう。
3. お腹の厚みと「反り」を確認する
脂の乗りを判断するもう一つのポイントは「お腹」です。
秋刀魚を横から見たとき、お腹がふっくらと丸みを帯びていて、厚みがあるものを選んでください。人間と同じで、秋刀魚も脂はお腹周りに溜まります。パックを横から覗き込んで、お腹のラインが「つ」の字のようにカーブしているものが理想的です。
また、もしバラ売りなどで手に取れる状態であれば(あるいはパック越しに観察できれば)、尻尾を持って持ち上げたときに、刀のように「ピン!」と真っ直ぐ立つものが最高です。
鮮度が落ちて内臓が柔らかくなると、持ち上げたときにグニャリとお腹が曲がってしまいます。お腹にハリがあるということは、中のワタまでしっかり新鮮である証拠。秋刀魚のワタの苦味が好きな方は、この「お腹のハリ」を絶対に妥協してはいけません。
4. 目が赤いのは鮮度が悪いから?実は大きな誤解です
よく「目が充血している魚は古い」と言われることがありますが、秋刀魚に関しては必ずしもそうとは限りません。
秋刀魚は網で一気に引き揚げられる際、仲間の秋刀魚とぶつかったり、上に乗られたりして強い圧力がかかります。その衝撃で目の周りの毛細血管が切れて、赤くなってしまうことがあるのです。これを「内出血」と呼びますが、これは水揚げの瞬間に起きるものなので、鮮度とは直接関係がありません。
もちろん、目が白く濁っているものは時間が経っているサインですが、赤く充血しているだけであれば、口先が黄色く、体にハリがある個体なら全く問題なく美味しく食べられます。
むしろ「目が赤いから」という理由で敬遠されている中に、最高に脂の乗った個体が隠れていることもあるので、避ける必要はありません。
5. 皮の輝きと鱗の残り具合を見る
最後に、魚体全体の「色」と「鱗」をチェックしましょう。
新鮮な秋刀魚は、背中側が深い青紺色で、お腹側が鏡のように輝く銀色をしています。このコントラストがはっきりしているものは、表面の酸化が進んでいない良質な個体です。
また、スーパーのパックの隅に、青くて小さな鱗(うろこ)が数枚落ちているのを見かけたことはありませんか?実は秋刀魚の鱗は非常に剥がれやすく、網にかかった段階でほとんどが落ちてしまいます。
そのため、パックの中に鱗が残っているということは、それだけ丁寧に扱われ、水揚げから間もない状態で加工された可能性が高いことを示唆しています。「あ、鱗がついている。ラッキー!」くらいに思って、優先的に選んでみてください。
スーパーでのパック選びで損をしないための注意点
見分け方のポイントがわかったところで、次は「パック」そのものに注目してみましょう。
- ドリップ(赤い汁)が出ていないかパックの中に赤い水分が溜まっているものは「ドリップ」と呼ばれ、身の水分や旨味が外に逃げ出してしまった状態です。これがあると、焼いたときに身がパサつくだけでなく、生臭さの原因にもなります。なるべく底が乾いている綺麗なパックを選びましょう。
- 1尾の重さを意識する同じ値段で2尾入りや3尾入りのパックが並んでいる場合、つい「数が多い方」を選びたくなりますが、秋刀魚に関しては「1尾あたりの大きさ」を優先するのが正解です。小さな秋刀魚を3尾食べるより、大きく太った秋刀魚を1尾食べるほうが、脂の乗りも満足度も圧倒的に高いからです。
秋刀魚をより美味しく焼くためのワンポイントアドバイス
せっかく見分け方をマスターして最高の1匹を手に入れたなら、焼き方にも少しだけこだわってみませんか?
- 塩は焼く20分前に振る塩を振ってしばらく置くことで、身から余分な水分と臭みが引き出されます。焼く直前にキッチンペーパーで表面の水分を優しく拭き取ると、皮がパリッと焼き上がります。
- 強火の遠火が理想家庭のグリルなら、あらかじめ予熱をしっかりしておくのがコツです。短時間で表面を焼き固めることで、中の脂を逃さずに閉じ込めることができます。
- 大根おろしをたっぷりと秋刀魚の脂をさっぱりさせるだけでなく、大根に含まれる酵素が消化を助けてくれます。
もし、自宅のグリルを汚したくない、もっと手軽に調理したいという方は、焼き魚専用シートなどを使うのも一つの手です。これを使えばフライパンでも皮を破かずに綺麗に焼くことができますよ。
また、旬の時期以外でも手軽に秋刀魚を楽しみたいなら、最近の缶詰も侮れません。秋刀魚 缶詰などは、骨まで柔らかく調理されているので、お子様や高齢の方でも安心して栄養を摂取できます。
結論:美味しい秋刀魚の見分け方をマスターして旬を楽しもう
美味しい秋刀魚を見分けるのは、決して難しいことではありません。
- 口先が黄色いか
- 背中が盛り上がって「小顔」に見えるか
- お腹にハリがあって太っているか
- 全体の銀色がキラキラと輝いているか
- ドリップが出ていないか
この5つのポイントを意識するだけで、あなたの食卓に並ぶ秋刀魚の質は劇的に向上します。
「あ、この秋刀魚、当たりだね!」
家族からそんな言葉が出てくるはずです。
旬の時期は短いからこそ、1回1回の食事を大切にしたいもの。ぜひ次にスーパーへ行ったときは、宝探しをするような気持ちで、一番の「べっぴんさん」を選んでみてください。
旬の味覚を最高の状態で味わう贅沢を、ぜひ手に入れましょう。
美味しい秋刀魚の見分け方を活用して、最高の秋の夜長を過ごしてくださいね。

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