「なんだか今日の煮物、味が決まらないな……」
「お店のような照り焼きのツヤが出ないのはどうして?」
そんな風に悩んだことはありませんか?実は、和食の味を左右する一番の鍵は、醤油でも出汁でもなく「みりん」にあるといっても過言ではありません。
スーパーの棚を眺めると、数百円で買えるものから千円以上する高級なものまでズラリと並んでいますよね。「どれも同じでしょ?」と思って安いものを選びがちですが、実は中身は全くの別物。本物の美味しいみりんを使うだけで、いつもの家庭料理が驚くほど料亭の味に近づきます。
今回は、料理が劇的に美味しくなる本みりんの選び方や、今すぐ試したくなるおすすめの銘柄、そして意外と知らない使い方のコツをたっぷりとお届けします。
実は3種類ある?まずは「本みりん」の正体を知ろう
ひと口に「みりん」と言っても、実は大きく分けて3つの種類があるのをご存知でしょうか。この違いを知らずにレシピ通りに作っても、期待通りの味にならないことがあります。
まず1つ目が「本みりん」です。アルコール分が約14%含まれており、酒類に分類されます。もち米、米麹、焼酎などを原料に、じっくり熟成させて作られます。お米のデンプンが糖分に変わり、複雑で上品な甘みを生み出すのが特徴です。
2つ目が「みりん風調味料」です。こちらはアルコール分が1%未満なので、酒税がかからず安価に手に入ります。水あめや糖液に香料を混ぜたもので、アルコールを飛ばす必要がないため、ドレッシングや和え物にそのまま使える手軽さがあります。
3つ目が「発酵調味料(みりんタイプ)」です。アルコール分は本みりんと同程度ありますが、塩を加えて「飲めない」ようにしてあるため、酒税がかかりません。本みりんに近い調理効果がありますが、塩分が含まれているので料理の際の塩加減には注意が必要です。
本当に美味しい料理を目指すなら、やはりおすすめは「本みりん」です。それも、原材料がシンプルで伝統的な製法で作られたものを選ぶと、世界が変わります。
料理が劇的に変わる!本みりんが持つ6つの魔法
なぜ美味しい本みりんを使うと料理がプロ級になるのでしょうか。そこには、砂糖にはない「6つの調理効果」があるからです。
- 上品で深い甘みを与える砂糖の甘さは「ショ糖」という1種類の糖ですが、本みりんはブドウ糖やオリゴ糖など9種類以上の糖が含まれています。そのため、カドのない、まろやかで奥行きのある甘みになります。
- 綺麗な照りとツヤを出す本みりんに含まれる複数の糖類が食材の表面をコーティングし、膜を張ります。これが、あの食欲をそそる「キラキラした照り」の正体です。
- 煮崩れを防いで美しく仕上げるアルコールと糖分が食材の細胞を引き締め、煮崩れを防いでくれます。ジャガイモの角が立った肉じゃがを作りたいなら、本みりんが欠かせません。
- 味が奥まで染み込みやすくなるアルコールの分子は非常に小さく、食材に素早く浸透します。その際に他の調味料も一緒に引き連れて中まで運んでくれるので、短時間でも味がしっかり染みます。
- 生臭さを消してくれるアルコールが加熱されて蒸発するとき、魚や肉のイヤな臭みを一緒に連れ去ってくれます。これを共沸効果と呼びます。
- 旨味を凝縮させる米麹由来のアミノ酸が豊富に含まれているため、加えるだけで料理にコクと旨味がプラスされます。
美味しいみりんを見極めるための選び方チェックポイント
スーパーや通販で「本当に良いもの」を見極めるには、裏面のラベルを見るのが一番の近道です。
まずチェックしたいのは「原材料名」です。
理想的なのは、もち米、米麹、本格焼酎(または米焼酎)の3つだけで作られているもの。これがいわゆる「伝統製法」のみりんです。
逆に、安価な本みりんのラベルには「醸造アルコール」や「糖類」という表記があることが多いです。これらは短期間で大量生産するために添加されているもので、伝統製法に比べるとコクや風味がやや軽くなります。
次に「熟成期間」を見てみましょう。
通常のみりんは数ヶ月で出荷されますが、こだわりの逸品は1年〜3年ほどじっくり寝かされています。熟成が進むほど色は琥珀色に濃くなり、まるでビンテージのブランデーのような、とろりとした深い味わいになります。
料理家も絶賛!一度は使ってほしい美味しいみりんおすすめ15選
それでは、具体的にどの商品を選べばいいのか、タイプ別に厳選してご紹介します。
1. 伝統製法にこだわった最高級の銘柄
これらのみりんは、もはや調味料というより「高級なリキュール」です。まずはそのままひと口舐めてみて、その甘さに驚いてください。
- 角谷文治郎商店 三州三河みりん三州三河みりん「みりんといえばこれ」と言われるほどの超定番。国産の特別栽培米を使い、加熱処理をしない「生」の状態の麹が生きている逸品です。キレの良い甘みと濃厚なコクのバランスが完璧です。
- 白扇酒造 福来純 伝統製法熟成本みりん福来純 伝統製法熟成本みりん江戸時代から続く製法を守り、3年かけてじっくり熟成。真っ黒に近い琥珀色が特徴で、メープルシロップのような濃厚な風味があります。バニラアイスにかけても絶品です。
- 養命酒製造 家醸本みりん家醸本みりんあの養命酒が作っている本みりんです。信州産のもち米を100%使用。非常に上品でクリアな味わいで、プロの料理人からの信頼も厚い一本です。
- 杉浦味淋 古式三河仕込 愛桜 純米本みりん愛桜 純米本みりん三河地方の伝統を頑固に守る蔵元。麹の香りが非常に豊かで、煮魚に使うと驚くほど臭みが消え、ふっくら仕上がります。
- 小笠原味淋醸造 一子相傳一子相傳 みりん原料の焼酎から自社で製造するというこだわりぶり。飲んで楽しむための「古式みりん」としても有名で、非常に贅沢な味わいです。
2. スーパーで買える!コスパ抜群の実力派
毎日使うものだから、手軽に買えて美味しいものがいい。そんな方におすすめの、流通量が多く質の高い銘柄です。
- キッコーマン マンジョウ 濃厚熟成 本みりんマンジョウ 濃厚熟成 本みりんスーパーで最もよく見かける本みりんの一つ。100%国内産米を使用しており、家庭用としては十分すぎるほど贅沢なコクがあります。
- 宝酒造 タカラ本みりん 純米 国産米100%タカラ本みりん 純米米の旨味を引き出す技術に定評がある宝酒造。余計な糖類を加えていない「純米」タイプを選ぶのが、美味しさを引き出すコツです。
- ミツカン 本みりんミツカン 本みりん安定した品質と使いやすさが魅力。どんな料理にも合わせやすい、素直な甘みが特徴です。
- 盛田 国産米100% 純米本みりん盛田 純米本みりん歴史ある蔵元が作る本みりん。米由来の自然な甘みが強く、砂糖を控えたい方にもおすすめできます。
- 恒食 特選本みりん恒食 本みりん自然食品店などでよく見かける銘柄。醸造アルコールを使用せず、昔ながらの味を大切にしています。
3. 健康志向・プロに愛される名脇役
- 味の一醸造 味の母味の母「酒」と「みりん」の両方の効果を併せ持つ発酵調味料。厳密には本みりんではありませんが、料理研究家の支持が非常に高く、これ一本で味が決まると評判です。
- 九重味淋 九重櫻九重櫻現存する最古のみりん蔵が作る逸品。大正時代から変わらぬ製法で、非常に力強いコクがあります。
- 千代菊 本みりん千代菊 本みりん岐阜の地酒メーカーが作るみりん。日本酒造りの技術を活かした、華やかな香りが楽しめます。
- 寺田本家 醍醐のしずく(関連品)寺田本家自然派を極める蔵元。独創的な発酵文化から生まれる味わいは、唯一無二です。
- オーサワの有機本みりんオーサワの有機本みりんオーガニックにこだわるならこちら。有機JAS認定を受けた原料のみを使用しており、安心して使えます。
もっと美味しく!みりんを使いこなす裏技と注意点
せっかく良いみりんを手に入れたら、その力を最大限に引き出しましょう。
まず知っておきたいのが「煮切り」というテクニックです。
本みりんにはアルコールが含まれているため、加熱しない料理(ドレッシングや和え物)に使うと、お酒のツンとした匂いが残ってしまうことがあります。そんな時は、小さめの鍋で一度沸騰させてアルコールを飛ばす「煮切りみりん」を作りましょう。
実はこれ、電子レンジでも簡単にできます。耐熱容器に入れて、ラップをせずに600Wで1分ほど加熱するだけ。これだけで、そのまま舐めても美味しい究極のシロップになります。
また、保存方法にも注意が必要です。
「本みりん」は、実は冷蔵庫に入れるのはNG。糖分が非常に高いため、冷やすと糖が結晶化して固まってしまうことがあるからです。直射日光の当たらない涼しい場所で常温保存するのが正解です。
逆に「みりん風調味料」はアルコールがほとんど含まれず保存性が低いため、開封後は必ず冷蔵庫に入れましょう。
さらに、健康面での嬉しいメリットもあります。
本みりんのGI値(血糖値の上がりやすさを示す指標)は、砂糖に比べて低いとされています。料理の甘みを砂糖から本みりんに置き換えるだけで、血糖値の急上昇を抑え、よりヘルシーな食生活に変えることができるのです。
美味しいみりんがあれば、毎日の食卓がもっと楽しくなる
「たかが調味料、されど調味料」
本当に美味しいみりんを一度使うと、その芳醇な香りと、食材の味を底上げしてくれる力強さにきっと驚くはずです。
肉じゃがのジャガイモがホクホクになり、照り焼きの鶏肉がまるでお店のような輝きを放つ。煮魚の生臭みが消え、奥深い旨味だけが残る。そんな魔法を、あなたのキッチンでも体験してみませんか?
まずは、いつものスーパーで「原材料名」を確認することから始めてみてください。もし余裕があれば、今回ご紹介した伝統製法の本みりんを一本取り寄せてみてください。その一口が、あなたの料理の常識を塗り替えてくれるでしょう。
美味しいみりんを味方につけて、毎日の「いただきます」をもっと幸せな時間にしていきましょう。

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