秋の味覚といえば、真っ先に思い浮かぶのが「さんま」ですよね。スーパーの店頭にキラキラと輝くさんまが並び始めると、季節の訪れを感じて胸が高鳴ります。しかし、いざ買おうと思っても「どれが本当に脂が乗っているの?」と迷ったり、家で焼くと「身がパサパサになる」「煙がすごくて後の掃除が大変」と悩んだりすることはありませんか?
せっかくの旬の味、どうせならお店で食べるような、皮はパリッと香ばしく、身はふっくらジューシーな「究極の一皿」を自宅で再現したいものです。実は、ほんの少しの目利きと、焼く前の「30分」の手間で、いつものさんまが驚くほど化けるんです。
今回は、美味しいさんまを確実に手に入れる選び方から、後片付けが劇的に楽になる焼き方の裏技まで、さんまを骨の髄まで堪能し尽くすための情報を余すことなくお届けします。
スーパーで失敗しない!脂の乗った「美味しいさんま」の見分け方
美味しいさんまを食べるための戦いは、すでにスーパーの鮮魚コーナーから始まっています。パックに入った大量のさんまの中から、エリートな一匹を選び出すためのチェックポイントを整理しました。
口先の色をチェック
最も分かりやすい鮮度の指標は「口先」です。下顎の先端が鮮やかな「黄色」をしているものを選んでください。これは水揚げされてから時間が経っていない証拠です。鮮度が落ちるにつれて、この黄色は茶色く濁り、やがて黒ずんでいきます。
「マッチョ」な体型を探せ
さんまの美味しさは脂の乗りに比例します。頭の後ろから背中にかけて、不自然なほど「こんもり」と盛り上がっている個体を探しましょう。横から見たときに厚みがあり、首元がガッシリしているものは、蓄えられた脂肪分がたっぷり詰まっている証拠。逆に、全体的に細長くシュッとしているものは、脂の乗りが控えめな傾向にあります。
目ヂカラと体のハリ
瞳が澄んでいて、黒目がはっきりしているものは新鮮です。また、尾を掴んで持ち上げたときに、刀のようにピンと真っ直ぐ立つものが理想的。鮮度が落ちたさんまは、重力に負けて「くの字」に曲がってしまいます。
表面の「銀色」の輝き
ウロコが剥がれすぎておらず、表面の銀色が鏡のように光を反射しているものを選びましょう。さんまの青光りする皮には、血液をサラサラにする成分などが豊富に含まれています。
焼く前の30分が命!生臭さを消して旨味を凝縮させる下処理
「買ってきたさんまをそのまま焼く」という方は多いですが、これでは本当のポテンシャルを引き出せません。プロの味に近づくための絶対条件は、余分な水分と臭みを抜くことです。
水洗いと拭き取り
まずはパックから出したさんまを、冷たい流水でサッと洗いましょう。表面に残った雑菌や、輸送中に出たドリップ(汁)が臭みの原因になります。洗った後は、キッチンペーパーを使って、これでもかというほど入念に水分を拭き取ってください。湿り気が残っていると、焼いたときに皮がパリッとしません。
浸透圧を利用した「塩」の魔法
焼く直前に塩を振るのではなく、焼く30分〜1時間前に振りましょう。これを「攻めの塩」と呼びます。塩を振ることで浸透圧が働き、身の奥にある臭みの元となる水分が表面に浮き出てきます。30分後、再び表面に浮き出た汗のような水分を拭き取ってください。このひと手間で、焼き上がりの身の締まり方が格段に変わります。
鮮度が心配なときは「ブライン液」
もし「ちょっと鮮度が落ちているかも」と感じたり、冷凍のさんまを使ったりする場合は、水に3%程度の塩と少量の砂糖を溶かした「ブライン液」に15分ほど浸してみてください。身に水分が戻り、ふっくらと焼き上がります。
魚焼きグリルで極上の「皮パリ」を実現するプロの技
「やっぱりさんまは直火で焼きたい!」というグリル派の方へ。網にくっついてボロボロになる失敗を防ぎ、料亭のような仕上がりにするコツを伝授します。
グリルはしっかり「予熱」する
冷たいままの網に魚を置くと、皮のタンパク質が網の金属と反応してガッチリとくっついてしまいます。さんまを入れる前に、強火で3分ほどグリル内を温めておきましょう。網が熱々な状態で魚を置けば、瞬時に皮が焼き固められ、剥がれやすくなります。
盛り付け面から焼く
姿焼きの場合、盛り付けたときに「上」になる方(左を頭にした時の表面)から焼き始めます。何度もひっくり返すと身が崩れる原因になるため、返すのは一度きり。強火で一気に表面を焼き固め、裏返した後は中火でじっくり火を通すのが理想です。
魔法の「片栗粉」で掃除を楽に
グリルの受け皿に水を張るタイプの場合、水に片栗粉を大さじ2杯ほど溶かしておきましょう。焼き終わって冷めると、落ちた油と一緒に水がゼリー状に固まります。これをペロンと剥がして捨てるだけで、面倒なギトギト汚れの掃除が完了します。
フライパンで手軽に!後片付け不要の絶品さんま術
「グリルがない」「掃除が嫌だ」という方にこそ試してほしいのがフライパン調理。実は、フライパンの方が水分を閉じ込めやすく、ふっくら仕上げやすいというメリットもあります。
クッキングシートや専用ホイルを活用
フライパン用ホイルを敷けば、油を引く必要はありません。さんまから出る上質な脂だけで、自分を揚げるように焼き上げることができます。また、フライパンからはみ出してしまう場合は、斜めにズバッと半分に切ってしまいましょう。このとき、内臓が流れ出ないように肛門より少し前で切るのがコツです。
蓋の使い分けが勝敗を分ける
最初は蓋をして、中火で蒸し焼きにします。これにより中心までしっかり火が通り、身がふっくらします。最後の1〜2分で蓋を取り、火力を少し強めてください。溜まった水分を飛ばすことで、フライパンでも驚くほど皮がパリッと仕上がります。
内臓は食べるべき?さんまの栄養を余すことなく摂取する方法
さんまを食べる際、好みが分かれるのが「わた(内臓)」ですよね。実は、さんまは他の魚と違って胃がなく、食べたものが数十分で排出されるため、内臓にエグみが少なく、非常に栄養価が高いのが特徴です。
苦味に含まれる大人の栄養
さんまの内臓には、皮膚や粘膜の健康を保つビタミンA(レチノール)が豊富に含まれています。また、脳の活性化を助けるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血液をサラサラにするEPA(エイコサペンタエン酸)も、脂の乗った内臓付近に多く集中しています。
大根おろしとすだちの黄金比
さんまの付け合わせといえば大根おろしとすだち。これは味の相性が良いだけでなく、栄養学的にも完璧な組み合わせです。大根に含まれる酵素は、魚の脂の消化を助け、焼き焦げに含まれる成分を中和してくれます。また、すだちのビタミンCは、さんまに含まれる鉄分の吸収率を高めてくれるのです。
余ったさんまはどうする?鮮度を保つ保存の知恵
まとめ買いをした時や、食べきれなかった時のための正しい保存方法を知っておくと、いつでも美味しいさんまを楽しめます。
冷蔵なら「内臓抜き」が基本
もし2日以上保存する場合は、思い切って内臓を取り除き、中をよく洗ってから保存しましょう。内臓は最も早く傷む部位だからです。水気を拭き取り、ラップで1本ずつ空気が入らないようにぴっちり包んで、冷蔵庫のチルド室に入れてください。
冷凍は「まるごと」がおすすめ
意外かもしれませんが、家庭で冷凍する場合は、内臓を取らずにまるごと冷凍したほうが乾燥を防げます。ラップで包んだ後、さらにジップロックなどの密封袋に入れて空気を抜きましょう。食べるときは、冷蔵庫でゆっくり解凍するか、氷水解凍をすると、細胞が壊れず旨味が逃げ出しません。
美味しいさんまを堪能しよう!アレンジレシピと楽しみ方
塩焼きに飽きたら、少し趣向を変えた楽しみ方も試してみてください。さんまの脂は洋風の味付けにもよく合います。
絶品!さんまのコンフィ風
フライパンに多めのオリーブオイルとにんにく、お好みのハーブを入れて、弱火でじっくり煮るように焼いてみてください。骨まで柔らかくなり、ワインにぴったりの一品になります。
さんまの炊き込みご飯
こんがり焼いたさんまを、醤油と酒、生姜を加えたお米の上に乗せて炊飯器へ。炊き上がりに身をほぐして混ぜ込めば、さんまの旨味が米一粒一粒に染み渡った、至福のご飯が完成します。
まとめ:美味しいさんまの選び方と焼き方のコツ!フライパンやグリルでプロの味を再現する方法
いかがでしたか?秋の王者・さんまを最高に美味しく味わうためのポイントを振り返ってみましょう。
まず大切なのは、スーパーでの目利きです。口先が黄色く、背中が盛り上がった「マッチョなさんま」を見つけ出すこと。そして自宅に帰ったら、焼く30分前の「塩」と「水分拭き取り」を徹底すること。これだけで、家庭の焼き魚のレベルは格段に上がります。
グリルで本格的に焼くもよし、フライパンで賢く手軽に調理するもよし。それぞれの道具の特性を理解して、後片付けのストレスを減らせば、もっと気軽にさんまを食卓に並べられるはずです。
栄養たっぷりで、心まで満たしてくれる旬の味。今回ご紹介したコツを実践して、ぜひ今晩の食卓で、脂の乗った最高に美味しいさんまを堪能してくださいね!

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