「今年こそ、市販の素に頼らない本格おでんを作りたい」
そんな風に思ったことはありませんか?スーパーのおでんの素は確かに便利です。でも、ふと感じるんですよね、「あの、お店で食べるような深みのある味には、ちょっと足りないかも」って。
安心してください。実は、家庭のキッチンでも、心から満足できる極上の「美味しいおでん」は作れます。その全ては、「だし」に集約されています。
今回は、あなたが今日から使える、基本から極上アレンジまで、おでんの決め手「美味しいおでんだし」の全てをお伝えします。
おいしさのカギは「うま味のハーモニー」にある
まず、頭をリセットしましょう。おでんは、具材を醤油で煮込む料理、ではありません。旨味たっぷりの「だし」に、具材がそっと浸かる料理です。
美味しいおでんを作るということは、この「だし」という舞台をいかに素晴らしいものにするか、にかかっています。その舞台の主役は、二つの素材です。
- 昆布:海の旨味「グルタミン酸」をたっぷり含み、味に深いコクとまろやかさを与えてくれます。
- かつお節:魚の旨味「イノシン酸」の塊で、力強さと香りをプラスします。
この二つの旨味成分が合わさると、科学で証明されている「うま味の相乗効果」が起こり、単純な足し算では計れない豊かな風味が生まれます。これが、家庭で作る美味しいおでんだしの、揺るぎない基本です。
まずは押さえたい!黄金の一番だしの取り方
では、具体的にどうすればいいのでしょうか。特別な道具は要りません。あなたの家にある鍋と、少しのコツだけです。
昆布だしを引き出す
- 鍋に水と昆布を入れ、最低30分(時間があれば1時間)置いておきます。昆布の旨味が水に移るのを待つ「水出し」の工程です。
- その後、弱火にかけてゆっくり温めていきます。ここでの最大のコツは、沸騰させないこと。沸騰してしまうと、昆布のネバネバ成分(アルギン酸)やえぐみが出てしまいます。沸騰する直前に昆布を取り出しましょう。
かつお節の香りを封じ込める
- 昆布を取り出しただしが沸騰したら、一度火を止めます。ここが最も大事な瞬間です。
- 火を止めた鍋に、たっぷりのかつお節を一気に投入します。全体が沈むまで、約1分〜1分半、そのまま静かに待ちます。
- キッチンペーパーを敷いたザルで、優しくこします。ぎゅっと絞ると雑味が出るので、自然に落ちるだしだけを受け止めるイメージです。
これで、澄んでいて、香り高く、深い旨味を持つ「一番だし」の完成です。このだしがあれば、もうおでんの8割は成功したようなものです。
あなたにぴったりの味を見つけよう!3つのだしスタイル
「基本はわかったけど、正直、毎回一番だしを取るのはハードルが高い…」そんな本音も聞こえてきそうです。大丈夫、料理はマニュアル通りじゃなくていい。あなたのライフスタイルや好みに合わせて、選べる選択肢を用意しました。
1. 本格探究派:「一番だし+追いだし」スタイル
時間と手間をかけて、最高峰の味を追求したい方へ。一番だしをベースに調味し、煮込む過程でさらに「追いがつお」(新しいかつお節)を加える方法です。旨味が何層にも重なり、プロの店のような複雑で奥深い味わいが生まれます。料理自体を楽しみたい方に特におすすめです。
2. 時短効率派:「白だし・だしパック」活用スタイル
忙しい日常の中で、手軽に美味しさを手に入れたい方へ。市販の「白だし」や「だしパック」は、昆布やかつお節などが絶妙にブレンドされた優れものです。これらを活用すれば、だしを取る工程が大幅に短縮され、味付けも簡単。例えば、水400mlに白だし大さじ2、みりん大さじ1を加えるだけで、十分美味しいつゆのベースが出来上がります。白だしやだしパックを常備しておけば、おでんがぐっと身近な料理になります。
3. アレンジ創造派:「合わせだし×隠し味」スタイル
「基本はわかった、だから次は自分流を作りたい!」というクリエイティブな方へ。一番だしや白だしのベースに、隠し味を加えて個性を出す方法です。
- コクを足したい時:鶏ガラスープの素を少量加える。
- 深みとまろやかさを:オイスターソースをほんの少し垂らす。
- 甘みと照りを:酒やみりんを多めに、あるいはてんさい糖を使ってみる。
自分の好みを見つける旅そのもの。家族の「我が家の味」が生まれる瞬間です。
だしを最大に活かす!具材の「ゆるぎない下ごしらえ」
せっかくの極上だしも、具材の準備を怠ると台無しになってしまいます。逆に、ここさえ押さえれば、美味しさは劇的に向上します。特に重要なものをご紹介します。
- 大根:厚切りにし、片面に十文字の切り込みを入れます。これは味の通り道。そして、米のとぎ汁(なければ水)で竹串がスッと通るまで下ゆでします。これで辛みとアクが抜け、だしをたっぷり吸うスポンジに生まれ変わります。
- こんにゃく:手でちぎり、塩もみしてから熱湯でゆでます。独特のにおいが消え、味が染み込みやすくなります。
- 揚げ物(厚揚げ・がんもどき):熱湯をかける「油抜き」を忘れずに。表面の油を落とすことで、だしが濁らず、中までじわっと味が浸透します。
- ゆで卵:固ゆでにし、殻をむいたら水にしばらくつけておきます。黄身がしっとりし、味がなじみやすくなります。
極上の味を呼び込む「三段階煮込み」の魔法
全ての具材を鍋に放り込んで一気に煮るのは、もったいない!味の染み込みやすさや食感を守るため、具材はグループ分けして、順番に投入する「三段階煮込み」が極意です。
- 第一陣(味の土台を作る):味が染み込みにくい「大根」「こんにゃく」「結び昆布」「ゆで卵」を入れ、弱火でコトコト煮始めます。ここでしっかり火を通し、だしを受け止める準備をさせます。
- 第二陣(コクを加える):30分ほど経ったら、油抜きした「厚揚げ」「がんもどき」、そして「つみれ」「ちくわぶ」などを加えます。揚げ物から出るうま味が、だしにさらにコクを加えてくれます。
- 第三陣(香りと食感を仕上げる):食べる直前、火を止める直前に、「はんぺん」「焼きちくわ」「さつま揚げ」などを加えます。これらの練り物は煮立てると風味と食感が損なわれるので、だしの中でほんのり温まる程度がベスト。
そして、最も大事な魔法は、煮込んだ後、火を止めてそのままゆっくり冷ますことです。鍋の中で温度が下がっていく過程で、具材の細胞がだしをグイグイと吸い込みます。一晩おけば、味はさらに落ち着き、全てが一体となった「極上おでん」が完成するのです。
よくある「あれ?」を解決!おでんQ&A
最後に、実際に作る時にぶつかりがちな疑問に答えておきましょう。
- Q.味が薄く感じます。どうしたら?
- A.最初から濃い味付けにする必要はありません。煮込む過程で、だしや塩、醤油で調整していきましょう。具材からも旨味が出るので、少し控えめから始めるのがコツです。食べる直前が最終調整のチャンスです。
- Q.残ったつゆ、もったいない。何かに使えますか?
- A.もちろんです!これがまた絶品なんです。うどんのつゆにしたり、茶碗蒸しのベースに加えたり、次の煮物に使ったり。おでんのつゆで作るリゾットもおすすめです。ただし衛生面には注意して、早めに使い切りましょう。
- Q.圧力鍋でも作れますか?
- A.作れます。大根の下茹でや味の染み込みが劇的に短時間で済むので、時短調理には最適です。ただし、練り物を入れる工程は、圧力を抜いてから行ってください。
さあ、極上の「家庭で作る美味しいおでんだし」を完成させよう
いかがでしたか?「美味しいおでん」を作ることは、決して難しい技術ではありません。
それは、昆布とかつお節の旨味を丁寧に引き出し、あなたの好みに合わせて調味し、具材の特徴を尊重して鍋に寄り添う、そんな「心づかい」の積み重ねです。
今回ご紹介した基本とレシピを、あなた流にアレンジするヒントにしてみてください。今夜、あるいは次の休日に、鍋から立ち上る湯気とともに、家族や自分の笑顔が生まれることを願っています。
さあ、あなただけの「家庭で作る美味しいおでんだしの基本と極上レシピ」を、ぜひ完成させてみてください。

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