上野という街は、美術館や動物園といった文化的な顔を持つ一方で、アメ横に代表される雑多でエネルギッシュな商人の街でもあります。そんな多面的な魅力を持つ上野ですが、実は「ウイスキー」の聖地としての側面があることをご存知でしょうか。
仕事帰りの一杯から、大切な人と過ごすオーセンティックな夜、さらには自宅で楽しむための一瓶を探す旅まで、上野にはあらゆるニーズに応えるウイスキーの入り口が広がっています。今回は、上野エリアで最高のウイスキー体験をするためのガイドをお届けします。
ウイスキー初心者でも安心!上野駅周辺のカジュアルスポット
ウイスキーに興味はあるけれど、いきなり重厚な扉を開けるのは勇気がいる。そんな方にまずおすすめしたいのが、上野駅構内や駅周辺にあるカジュアルな店舗です。
駅直結の「ハイボールバー上野駅1923」は、その名の通りハイボールに特化したお店です。専用の超炭酸ソーダと、こだわり抜かれたサントリー角瓶やメーカーズマークを使用したハイボールは、家庭では再現できない爽快感があります。おつまみも充実しており、特にカツサンドやナポリタンといった喫茶メニューのようなラインナップは、ウイスキーのコクと絶妙にマッチします。
まずはここで、冷えた銅製マグカップで提供される極上のハイボールを味わってみてください。ウイスキーが「親しみやすいお酒」であることを再発見できるはずです。
湯島・上野エリアに潜むオーセンティックバーの深い魅力
上野駅から少し歩き、不忍池の先にある湯島エリアへ足を伸ばすと、そこには静謐な時間が流れる本格的なバーが点在しています。
「The Auditorium」は、ジャパニーズウイスキーの品揃えが圧巻です。近年の世界的なブームで入手困難となっている山崎や響、さらには秩父の蒸留所が生み出すイチローズモルトなど、希少な銘柄をじっくりと味わうことができます。このお店の最大の特徴は、真空管アンプから流れるレコード音楽。温かみのある音色に包まれながらグラスを傾ける時間は、まさに大人の至福と言えるでしょう。
また、1,000本以上のボトルを抱える「The TRAD」も外せません。ここではシングルモルトの奥深さを存分に堪能できます。アイラ島の力強いスモーキーさが特徴のラガヴーリンや、華やかな香りのザ・マッカランなど、バーテンダーの方に自分の好みを伝えてみてください。知識がなくても「少し甘い感じが良い」「煙のような香りがしてみたい」といった直感的な言葉で大丈夫です。プロの感性で、あなたにぴったりの一杯を選び出してくれます。
アメ横で宝探し!希少なボトルを購入できる老舗酒販店
「飲む」だけでなく「買う」楽しみも上野の醍醐味です。戦後の闇市から発展したアメ横商店街には、古くから続く酒販店がいくつも軒を連ねています。
アメ横の路地裏にある老舗の酒屋では、最新のリリース品だけでなく、時として数年前の限定ボトルや、今では見かけなくなったオールドボトルが棚の奥に眠っていることがあります。こうしたお店での買い物は、まさに「宝探し」です。店主との会話を楽しみながら、インターネットでは手に入らないような掘り出し物を探す時間は、ウイスキー愛好家にとって最高のレジャーになります。
もちろん、日常的に楽しむためのジョニーウォーカーやシーバスリーガルといった定番品も、驚くような価格で並んでいることがあります。まとめ買いをして帰る地元のファンが多いのも納得です。
百貨店と家電量販店を賢く使い分ける
信頼性と確実性を求めるなら、松坂屋上野店や駅前のビックカメラ、ヨドバシカメラの酒販コーナーも見逃せません。
百貨店の酒売り場は、ギフト用のラッピングが丁寧なのはもちろん、季節ごとに開催されるウイスキーフェアが狙い目です。テイスティングイベントが行われることもあり、購入前に味を確かめられるチャンスがあります。一方、家電量販店はポイント還元が大きな魅力です。最新のジャパニーズウイスキーが入荷するタイミングに遭遇できれば、ポイントを活用してお得に手に入れることができます。
特に竹鶴や余市といった人気銘柄は、入荷してもすぐに売り切れてしまうため、上野に立ち寄った際にこまめにチェックする習慣をつけると良いでしょう。
ウイスキーをより深く楽しむためのテイスティング術
せっかく上野の名店で良いウイスキーに出会えたなら、その味わいを最大限に引き出したいものです。バーで飲む際には、ぜひ「ストレート」から始めてみてください。
まずはグラスを光にかざし、液体の色調(琥珀色や金色など)を楽しみます。次に、鼻を近づけて香りを取ります。この時、一気に吸い込まず、優しく香りをなぞるのがコツです。そして一口含み、舌の上で転がすように味わいます。
ここで忘れてはいけないのが、チェイサー(水)の存在です。強いアルコールから喉を守るだけでなく、一口水を飲むことでリセットされた舌が、次の瞬間にはまた新しいウイスキーの表情を見せてくれます。また、数滴の水をウイスキーに垂らす「加水」も試してみてください。香りが花開くように広がり、ストレートの時とは全く別の印象に変わることがあります。
上野の活気とウイスキーが融合するイベントの楽しさ
上野公園では、定期的に食や酒のフェスティバルが開催されます。特に「超ハイボール祭」のようなイベントでは、開放的な空の下で様々な銘柄を飲み比べることができます。
バーのような静かな空間で向き合うウイスキーも格別ですが、青空の下で炭酸が弾けるハイボールを流し込むのも、これまたウイスキーの正しい楽しみ方の一つです。友人や家族と賑やかに過ごしながら、白州の森のような香りを外気の中で感じる。そんな体験ができるのも、広大な公園を抱える上野ならではの魅力です。
こうしたイベントをきっかけにウイスキーに興味を持ち、その後で街中のバーへと流れる「ウイスキーのハシゴ」も上野散策の王道ルートと言えるでしょう。
自分へのご褒美に、特別な一瓶とグラスを揃える
上野での冒険を終えたら、その感動を自宅へ持ち帰りましょう。気に入ったウイスキーを購入したら、次にこだわりたいのがグラスです。
ウイスキーの香りを閉じ込めるチューリップ型のテイスティンググラスや、氷の音を楽しめる江戸切子のロックグラスなど、器を変えるだけでお酒の味は驚くほど変わります。上野の周辺には伝統工芸品を扱うショップも多いため、自分へのご褒美として最高のグラスを探してみるのも素敵です。
夜、お気に入りの音楽をかけながら、上野で見つけた最高の一瓶を開ける。それは、慌ただしい日常から解き放たれる自分だけの聖域を作る儀式のようなものです。
上野のウイスキー名店巡り!初心者からマニアまで楽しめるバーと販売店
上野という街は、一見するとウイスキーとは無縁の喧騒に満ちているように見えます。しかし、一歩路地に入り、あるいは駅の階段を上がれば、そこには豊潤な香りと深い琥珀色の世界が広がっています。
歴史ある老舗から、最新の音響設備を備えたモダンなバー、そして活気あふれるアメ横の酒屋まで。上野は、ウイスキーを知りたい初心者から、さらなる高みを目指すマニアまで、すべての人を包み込んでくれる懐の深い街です。
次の休日は、ぜひ上野の街を歩いてみてください。グラスの中で揺れる琥珀色の液体が、あなたに新しい物語を語りかけてくれるはずです。そこには、まだあなたが知らない上野の夜が待っています。

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