ウイスキー棚の前で、ひときわ硬派なオーラを放つボトルに出会ったことはありませんか?黒いラベルに刻まれた「BAKER’S」の文字。ジムビーム蒸留所が手掛けるプレミアムシリーズ「スモールバッチ・コレクション」の中でも、特に個性的で玄人好みな一本として知られているのがベイカーズです。
しかし、ネットで検索してみると「ベイカーズ まずい」という不穏なワードが目に飛び込んでくることもあります。せっかく安くない金額を払って手に入れるなら、失敗はしたくないですよね。
今回は、バーボン愛好家からも一目置かれるベイカーズの真実に迫ります。なぜ「まずい」と言われてしまうのか、その独特な味の特徴から、評価を一変させる最高に美味しい飲み方まで、余すことなくお届けします。
ベイカーズが「まずい」と誤解される3つの理由
結論から言えば、ベイカーズは決して質の低いウイスキーではありません。むしろ、非常に高い技術と贅沢な素材を使って造られた最高級のバーボンです。それなのになぜ、ネガティブな評価が生まれてしまうのでしょうか。そこには、このウイスキーが持つ強烈な「個性」が関係しています。
107プルーフという圧倒的なパワー
ベイカーズのアルコール度数は53.5%(107プルーフ)です。一般的なウイスキーが40%程度であることを考えると、かなり高めですよね。ウイスキーを飲み慣れていない方がいきなりストレートで口にすると、アルコールの刺激が強すぎて「痛い」「辛い」と感じてしまいます。この第一印象が「まずい」という評価に直結してしまっているのです。
ジムビーム系特有の濃厚なナッツ感
ベイカーズを製造しているのは、世界一の販売量を誇るジムビーム蒸留所です。ここの原酒には、ピーナッツやローストナッツを思わせる独特の香ばしさがあります。これが好きな人にはたまらないのですが、苦手な人にとっては「独特のクセ」として敬遠される原因になります。
7年以上の長期熟成による木質感
バーボンはケンタッキー州の激しい寒暖差の中で熟成されるため、スコッチに比べて熟成が早く進みます。7年以上という月日は、バーボンにとってはかなりの長期熟成です。そのため、樽の成分が強く溶け出し、人によっては「木っぽさが強すぎる」「苦味が気になる」と感じることがあります。
ベイカーズにしかない「唯一無二」の魅力とは
マイナスな意見を先に紹介しましたが、ベイカーズにはそれを補って余りある魅力が詰まっています。このウイスキーは、ジムビーム家の6代目マスターディスティラー、ブッカー・ノー氏が、従兄のベイカー・ビーム氏を称えて造り上げた一級品です。
華やかさと力強さの共存
ベイカーズの最大の特徴は、バニラやキャラメルのような濃厚な甘みと、ベリー系のフルーツを思わせる華やかな香りが、53.5%という高い度数によって増幅されている点です。薄っぺらい甘さではなく、どっしりとした骨太なボディの中に、繊細なアロマが隠れています。
シングルバレルへの進化
2019年のリニューアル以降、ベイカーズは「シングルバレル」へと生まれ変わりました。通常、ウイスキーは味を安定させるために複数の樽をブレンドしますが、シングルバレルは「たった一つの樽」からそのままボトリングされます。
つまり、ボトル一本一本にわずかな個性の違いがあり、その時その瞬間にしか出会えない「一期一会の味」を楽しめるようになったのです。ラベルには熟成期間や倉庫の場所まで細かく記載されており、所有欲をかき立てます。
プロが教える!ベイカーズを劇的に美味しくする飲み方
「買ったけれど、やっぱり強すぎて飲みにくい……」と感じているなら、飲み方を変えてみてください。ベイカーズは、少しの手を加えるだけで、その表情を劇的に変えてくれます。
数滴の加水で「香りの爆発」を楽しむ
ストレートで飲む際、ティースプーン一杯分ほどの水を垂らしてみてください。これを「加水」と呼びますが、高濃度のアルコールの中に閉じ込められていた香りの分子が一気に解放されます。バニラの甘みがふわりと立ち上がり、アルコールの角が取れて驚くほどフルーティーになります。
リッチすぎる「大人のハイボール」
ベイカーズで作るハイボールは、格別です。度数が高いため、炭酸で割っても味わいが全く崩れません。むしろ、炭酸の刺激によってナッツの香ばしさが強調され、飲みごたえのある贅沢な一杯になります。レモンを絞るのも良いですが、まずはそのままの濃厚な風味を味わってみてください。
ゆっくり溶ける氷と楽しむオン・ザ・ロック
大きめの氷を用意して、ゆっくりと時間をかけて飲むスタイルです。最初は力強いバーボンのパンチを楽しみ、氷が溶け出すにつれてまろやかになっていく変化を楽しみます。温度が下がることで甘みが凝縮され、デザートのような感覚で楽しめます。
ベイカーズと合わせたい至福のペアリング
ベイカーズの濃厚な味わいは、食べ物との組み合わせでさらに輝きます。お家で楽しむなら、こんなお供を用意してみてはいかがでしょうか。
- ダークチョコレート: カカオ分が高い苦めのチョコは、ベイカーズの樽由来の苦味や甘みと同調し、口の中で最高のマリアージュを奏でます。
- 燻製ナッツ: ジムビーム系特有のナッツ感には、やはりナッツが合います。燻製のスモーキーさが加わることで、ウイスキーのコクがさらに深まります。
- ドライいちじく: ベリー系のフルーティーな香りを引き立ててくれる、最高の名脇役です。
- ビーフジャーキー: ケンタッキーの男らしいウイスキーには、肉の旨味がよく合います。少しスパイスの効いたものが特におすすめです。
結論:ベイカーズは「まずい」のではなく「本格的」すぎるだけ
ベイカーズは、決して万人に受けるライトなウイスキーではありません。しかし、一度そのパワーと繊細さのバランスを理解してしまえば、他のバーボンでは物足りなくなるほどの魔力を持っています。
もしあなたが「本当に美味しいバーボンを探している」「バーボンの深みに足を踏み入れたい」と思っているなら、ベイカーズは避けては通れない道です。最初は強烈に感じた刺激も、二口、三口と進むうちに、心地よい温かさと芳醇な余韻へと変わっていくはずです。
流行に左右されない、骨太でクラシックなケンタッキー・ストレート・バーボン。その真価を、ぜひあなたのグラスで確かめてみてください。
ベイカーズはまずい?評価や味の特徴、おすすめの飲み方までプロが徹底解説! というテーマでお届けしましたが、この記事があなたのウイスキーライフをより豊かにするきっかけになれば幸いです。

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