「何か美味しいウイスキーを飲んでみたいけれど、種類が多すぎて選べない……」
「アイラモルトのスモーキーな香りは少し苦手。もっと華やかで飲みやすいものはないかな?」
そんな風に感じているあなたに、ぜひ知ってほしい場所があります。それがスコットランドの北東部に位置する「スペイサイド」です。
ウイスキーの聖地と呼ばれるこの地域には、世界的に有名な銘柄がひしめき合っています。今回は、初心者から熟練の愛好家までを虜にするスペイサイド・ウイスキーの魅力を徹底的に深掘りし、今すぐ飲みたくなるおすすめの15選をご紹介します。
そもそも「ウイスキーの聖地」スペイサイドとは?
スコットランドには、ウイスキーの産地が大きく分けて6つあります。その中でも、スペイサイドは特別な存在です。
四国ほどの面積しかないスコットランドの中で、スペイサイドは北東部のスペイ川流域を指す狭いエリア。しかし、ここには50以上の蒸留所が密集しており、スコッチウイスキーの蒸留所の約半数がこの場所に集まっているのです。
なぜこれほどまでに多くの蒸留所が作られたのでしょうか。その理由は、ウイスキー造りに欠かせない「清冽な水」と、原料となる麦の栽培に適した気候、そしてかつての密造酒時代に役人から隠れやすかった深い谷といった地理的条件が完璧に揃っていたからです。
スペイサイドのウイスキーは、その多くが「華やかでフルーティー、そして優雅な甘み」を持っているのが特徴です。ウイスキー特有の「正露丸のような香り(ピート香)」が控えめな銘柄が多く、ウイスキー初心者が最初の一歩を踏み出すのに最も適した地域だと言えるでしょう。
スペイサイド・ウイスキーが愛される3つの理由
スペイサイドのモルトが世界中で支持されるのには、明確な理由があります。その魅力を紐解いていきましょう。
1. 万人受けする「華やかでフルーティー」な香り
スペイサイドのウイスキーをグラスに注ぐと、まず驚くのがその香りの良さです。リンゴや洋ナシ、青リンゴを思わせるフレッシュな果実香。あるいはハチミツやバニラ、白い花のような甘美な香りが漂います。アルコールの刺激がまろやかに包み込まれているため、香りを嗅いでいるだけでも幸せな気分になれるのが特徴です。
2. 熟成樽によって変わる「二大スタイル」の楽しさ
スペイサイドには、大きく分けて2つの味わいの方向性があります。
一つは、バーボン樽を主に使用した「軽快で爽やかなスタイル」。もう一つは、シェリー樽(スペインの強化ワインの樽)を使用した「重厚でリッチなスタイル」です。この2つの個性が共存しているからこそ、自分の好みにぴったりの1本を見つけやすいのです。
3. 歴史に裏打ちされた圧倒的なクオリティ
世界で最も売れているシングルモルトや、政府公認第1号の称号を持つ蒸留所など、歴史の重みが違います。長年積み上げられた技術によって、どの銘柄を手に取っても「外れ」が極めて少ないという安心感があります。
スペイサイドを代表する銘柄:まずはこの3本から
スペイサイドを知る上で、絶対に避けて通れない「御三家」とも呼べる銘柄があります。
まずは、世界で最も売れているシングルモルトとして君臨するグレンフィディック12年です。洋ナシのような瑞々しい香りと、驚くほどクリーンな飲み口。ハイボールにするとその爽やかさが一層引き立ち、食事との相性も抜群です。
次に、全てのシングルモルトの原点とされるザ・グレンリベット 12年。1824年にスコットランドで初めて政府公認となった歴史を持ちます。トロピカルフルーツのような華やかな香りと、ハチミツのような甘い余韻。バランスが完璧で、ウイスキーの「基準」を知るには最適な1本です。
そして、忘れてはならないのが「シングルモルトのロールスロイス」と称されるザ・マッカラン 12年 ダブルカスク。厳選されたシェリー樽で熟成されたその液体は、濃密なドライフルーツやチョコレートのような甘美な味わいを持ちます。自分へのご褒美や、大切な人へのギフトとして、これほど心強い銘柄はありません。
味わい別!おすすめスペイサイド・ウイスキー15選
ここからは、より詳しくタイプ別におすすめの銘柄を紹介していきます。
フルーティーで軽快!ハイボールに合う銘柄
1. グレンフィディック12年
先ほども挙げた王道中の王道。世界初のシングルモルトとして売り出された歴史を持ちます。青リンゴのようなフレッシュさと、微かなオークの香りが絶妙です。
「はじまりのシングルモルト」。バニラの甘みとフローラルな香りが心地よく、ストレートでもロックでも、その完成度の高さを実感できます。
バーボン樽とシェリー樽の両方で熟成させた原酒をバランスよくブレンド。フルーティーさとスパイシーさが同居する、非常に贅沢な味わいです。
4. カーデュ 12年
ジョニーウォーカーのキーモルトとしても知られる銘柄。非常にスムースで飲みやすく、甘い麦芽の香りが口の中に広がります。女性ファンが多いことでも有名です。
5. クラガンモア 12年
スペイサイドの中で最も複雑な香調を持つと言われる1本。甘み、酸味、そして微かなスモーキーさが重層的に重なり、飲むたびに新しい発見があります。
シェリー樽の重厚感!じっくり味わいたい銘柄
シェリー樽熟成ウイスキーの至宝。赤みがかった琥珀色と、ドライフルーツのような濃厚なコク。これぞ贅沢という時間を演出してくれます。
家族経営を貫く蒸留所で、直火蒸留による力強い味わいが特徴。リーズナブルながら、本格的なシェリー樽の風味を楽しめるコストパフォーマンス抜群の銘柄です。
8. グレンアラヒー 12年
近年、ウイスキーファンの間で熱狂的な支持を集めているのがこちら。天才プロデューサー、ビリー・ウォーカー氏によって再興され、圧倒的に濃厚なシェリーのキャラクターが楽しめます。
9. タムデュー 12年
100%シェリー樽熟成にこだわる蒸留所。シナモンやスパイスの効いた焼きたてのパンのような、香ばしくも甘い香りがクセになります。
10. ベンリアック 12年
「フレーバーの宝庫」と呼ばれるベンリアック。シェリー、バーボン、ポートワイン樽の3種を組み合わせた複雑な味わいが、モダンなウイスキーの楽しさを教えてくれます。
個性を楽しむ!通に愛される銘柄
グレンフィディックの隣にある蒸留所ですが、味わいはよりリッチでクラフト感が強め。伝統的な「フロアモルティング」を守り続けており、ハチミツのようなトロリとした質感が魅力です。
12. モートラック 12年
「ダフタウンの野獣」という異名を持つ、非常にパワフルな銘柄。スペイサイドらしい華やかさを持ちつつも、肉厚で重厚なボディがあり、飲みごたえを求める人に最適です。
13. ストラスアイラ 12年
シーバスリーガルの核となるモルト。スペイサイドで最も美しいと言われる蒸留所で作られ、ナッツのような香ばしさとフルーティーな甘みのバランスが絶妙です。
14. グレンロセス 12年
バニラやメロンのような清涼感のある甘みが特徴。エドringtonグループが手掛ける高品質な原酒は、ウイスキー玄人からの評価も非常に高いです。
15. ロングモーン 18年
ニッカウヰスキーの創業者、竹鶴政孝が修行した場所としても知られる伝説の蒸留所。クリーミーで濃厚な味わいは、まさに「職人が作る芸術品」の風格があります。
初心者がスペイサイド・ウイスキーを楽しむためのコツ
せっかく素晴らしいウイスキーを手に入れたなら、その魅力を最大限に引き出して味わいたいですよね。いくつかポイントを紹介します。
グラス選びにこだわる
可能であれば、口が少しすぼまった「テイスティンググラス」を用意してみてください。スペイサイド・ウイスキーの最大の武器である「香り」を逃さず、鼻先へ集めてくれます。100円ショップのグラスから卒業するだけで、体験価値は数倍に跳ね上がります。
「加水」で香りをひらく
ストレートで飲む際、数滴の水を垂らしてみてください。これを「加水(かすい)」と呼びます。加水することによってウイスキーの分子が動き出し、閉じ込められていた香りが一気に花開きます。特にスペイサイドのフルーティーな銘柄はこの変化が劇的なので、ぜひ試してみてください。
おつまみとのペアリング
スペイサイドの甘みには、同じく甘みのあるものがよく合います。
- フルーティーなタイプ: ドライマンゴー、カマンベールチーズ、洋ナシのタルト。
- シェリー樽タイプ: ダークチョコレート、レーズンバター、ナッツの蜂蜜漬け。これらを合わせることで、ウイスキーの輪郭がよりはっきりと浮かび上がってきます。
知っておくと面白い!スペイサイドの豆知識
スペイサイドのウイスキーをもっと身近に感じるための小話をいくつか。
「ダフタウンの7つの丘」
スペイサイドの中心地であるダフタウンには、「ローマは7つの丘の上に建てられたが、ダフタウンは7つの蒸留所の上に建てられた」という有名な言葉があります。それほどまでに、町全体がウイスキー造りに染まっている場所なのです。
密造酒から始まった歴史
かつて重い税金から逃れるために、農民たちは人里離れたスペイサイドの谷でウイスキーを密造していました。しかし、そのクオリティがあまりに高かったため、当時の国王ジョージ4世が「あの密造酒が飲みたい」と言い出したという逸話があります。それがきっかけで、グレンリベットのような公認蒸留所が誕生する道が開かれたのです。
スペイサイドの旅路は一生モノの趣味になる
ウイスキーの世界は奥が深いですが、スペイサイドはその入り口として最も優しく、そして奥に踏み込むほどに深い感動を与えてくれる場所です。
最初はグレンフィディックやグレンリベットから始めてみてください。そこから「もっと甘いものがいいな」と思えばシェリー樽のマッカランへ、「もっと飲みごたえが欲しい」と思えばモートラックへ。
あなたの好みに合わせて、スペイサイドは常に新しい驚きを用意して待っています。今夜は、聖地の歴史と情熱が詰まった黄金色の液体で、ゆっくりとグラスを傾けてみませんか?
その一杯が、あなたのライフスタイルをより豊かに彩る、素敵な趣味の始まりになるはずです。
ウイスキーの聖地スペイサイド!初心者から愛好家までを魅了する特徴とおすすめ15選を参考に、ぜひあなたにとっての「運命の1本」を見つけてみてくださいね。

コメント