「プロテインバー意味ない」って考えたこと、ありませんか? 私は管理栄養士として、その気持ち、よくわかります。スーパーの棚には様々なプロテインバーが並び、「高たんぱく」「手軽に栄養補給」と書かれていますが、本当にあなたの目的に合っていますか?
実は、プロテインバーは使い方や選び方を間違えると、期待した効果が得られないばかりか、かえって逆効果になる可能性もあります。今日は、プロテインバーの「本当の意味」について、栄養士の視点でお話しします。
プロテインバーが「意味ない」と言われる3つの理由
なぜプロテインバーに「意味ない」という意見があるのでしょうか。主な理由は以下の3点に集約されます。
1. 意外と高いカロリーと糖質
多くの人が「ダイエットに良い」と期待してプロテインバーを手に取ります。しかし、味を良くするために糖質や脂質が多く追加されているものも少なくありません。特にチョコレートでコーティングされたタイプは、1本で200kcalを超えることも。これでは、間食として適度な栄養補給をするつもりが、気づかないうちにカロリーオーバーになってしまう可能性があります。
2. たんぱく質の「質」と「吸収率」の問題
パッケージに「高たんぱく」と書かれていても、すべてのたんぱく質が同じ質とは限りません。特に、筋肥大を目的とする場合、必須アミノ酸が十分に含まれていないたんぱく質では効果が期待できません。また、加工の過程でたんぱく質の消化吸収率が低下している可能性も指摘されています。
3. 自然食品との比較でコストパフォーマンスが悪い
プロテインバー1本の価格で、ゆで卵なら数個、鶏むね肉なら十分な量が購入できます。経済性を考えた場合、自然食品からのたんぱく質摂取の方が効率的だと言えるでしょう。
それでもプロテインバーに「意味」を見いだせる場面
では、プロテインバーは完全に無意味なのでしょうか? そうとも言い切れません。以下のような状況では、その便利さを活かすことができます。
・時間がなく、食事の準備ができないとき
忙しい朝や移動中、会議の合間など、きちんとした食事を摂る時間的・環境的余裕がないとき。プロテインバーは持ち運びが簡単で、手を汚さずにたんぱく質を補給できます。
・栄養バランスの悪い間食の「置き換え」として
ポテトチップスや菓子パン、甘いお菓子など、栄養価が低く高カロリーな間食を摂りがちな人にとって、プロテインバーは「よりマシな選択肢」になり得ます。少なくともたんぱく質は摂取できます。
・トレーニング直後の緊急補給
筋トレ後30分以内は「ゴールデンタイム」と呼ばれ、栄養素の吸収が促進されます。このタイミングでたんぱく質を摂取したいが、すぐに食事が用意できない場合、プロテインバーは有効な手段となります。
「意味がある」プロテインバーの選び方3つのポイント
プロテインバーを選ぶときは、パッケージの前面にあるキャッチコピーだけで判断してはいけません。必ず裏面の栄養成分表示を確認しましょう。
1. PFCバランスをチェックする
たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)のバランスを見ます。理想は:
- たんぱく質:1本あたり15g以上
- 脂質:10g以下
- 糖質:できるだけ低いもの
2. カロリーに対するたんぱく質の割合を計算する
簡単な目安として、「その食品の総カロリーのうち、20%以上をたんぱく質が占めているか」を確認します。例えば、200kcalのバーなら、40kcal分以上(10g以上)のたんぱく質が含まれていることが望ましいです。
3. 原材料名を確認する
原材料は含有量の多い順に記載されています。たんぱく質源(ホエイ、ソイ、カゼインなど)が最初の方に来ているものを選びましょう。また、砂糖、異性化液糖、ショ糖などが上位にあるものは、糖質が高い可能性があります。
専門家がすすめる「本当に意味のある」栄養摂取法
多くの栄養専門家が共通して強調するのは、「可能な限り自然食品から栄養を摂取すること」です。
日本体育大学の岡田隆教授も、ダイエットにおいては「高たんぱく×低脂質」の自然食材を中心に据えることを推奨しています。具体的には:
- 鶏むね肉(皮なし)
- 白身魚
- 卵
- 豆腐や納豆などの大豆製品
これらの食品は、プロテインバーと比較して:
- 栄養素のバランスが良い
- 添加物が少ない
- コストパフォーマンスが高い
- 満腹感を得やすい
というメリットがあります。
また、プロテインバーの代わりになる携帯可能な間食としては:
- 無塩のナッツ一掴み
- ゆで卵
- ギリシャヨーグルト
- ささみのスティック
などが挙げられます。これらは加工度が低く、余分な添加物を含まない点で優れています。
プロテインバーとの賢い付き合い方
プロテインバーを完全に否定するのではなく、賢く活用する方法を考えてみましょう。
・目的を明確にする
「なぜプロテインバーを摂取するのか」を明確にします。筋肉増強のためなのか、ダイエットのためなのか、単に間食をヘルシーなものに置き換えたいのか。目的によって、必要な栄養素や摂取タイミングが変わります。
・「補完食品」として位置づける
プロテインバーは、食事で不足しがちな栄養を「補う」ものであり、食事の「代わり」ではないことを認識しましょう。3食の食事をおろそかにして、プロテインバーだけで栄養を賄おうとするのは危険です。
・摂取頻度とタイミングを考える
毎日何本も摂取するのではなく、本当に必要なときに限定して使いましょう。例えば、トレーニング後の補給や、どうしても食事が摂れない時間帯のみに利用するなど、使用場面を限定することが大切です。
プロテインバー意味ない、ではない。使い方次第です。
「プロテインバー意味ない」という意見は、その使い方や選び方を誤った場合、あるいは自然食品からバランスよく栄養を摂取できる環境にある人にとっては、確かに一理あります。
しかし、現代の忙しい生活の中では、どうしても食事の準備ができなかったり、栄養が偏りがちになったりする場面もあります。そんなときに、適切に選ばれたプロテインバーは、他の加工スナックよりは「マシな選択肢」となり得ます。
大切なのは、プロテインバーに依存しすぎず、できる限り自然食品を中心とした食生活を築きながら、どうしても必要なときにだけ、賢くプロテインバーを利用するというバランスです。
栄養成分表示をきちんと確認する習慣を身につけ、自分の体と目的に合った選択をしましょう。プロテインバーはあくまでツールの一つ。その使い手であるあなたの選択が、健康への道を左右するのです。

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