せっかく鶏肉を買ってきたのに、お家で焼くと「なんだか皮がベチャッとする」「中がパサパサで硬い」なんて経験はありませんか?レストランで食べるような、皮はクリスピーで身は溢れんばかりの肉汁……。あの感動を家庭のフライパンで再現するのは、実はそれほど難しいことではありません。
今回は、誰でも失敗せずに作れる「美味しいチキンステーキの焼き方」の極意を余すことなくお伝えします。ちょっとした下準備と、火の入れ方のルールを守るだけで、あなたのチキンステーキが劇的に進化しますよ。
なぜ家のチキンステーキは「皮」がベチャッとするのか
多くの人が陥りがちな罠、それは「水分の放置」と「強火すぎる加熱」です。
鶏肉の皮には多くの水分と脂が含まれています。これをそのまま焼いてしまうと、水分が蒸発する前に身に火が通り過ぎ、皮は蒸されたような状態になってしまいます。プロが作るチキンステーキがなぜあんなに香ばしいのか。その最大の理由は、焼く前の「徹底した乾燥」にあります。
また、最初から強火でガンガン焼いてしまうのもNGです。急激な加熱は肉の繊維をギュッと縮ませ、大切な肉汁を外に追い出してしまいます。美味しいチキンステーキへの第一歩は、まず鶏肉の声を聞き、ゆっくりと温度を上げていくことにあるんです。
準備で仕上がりの8割が決まる!下処理のポイント
「焼く直前」ではなく、焼く前の準備にこそ黄金のルールが隠されています。
まずは、鶏肉を冷蔵庫から出してすぐ焼かないこと。これはステーキ全般に言える鉄則ですが、肉の内部が冷たいままだと、表面だけが焦げて中は生、という失敗を招きます。夏場なら15分、冬場なら30分ほど前に冷蔵庫から出し、室温に戻しておきましょう。
次に、厚みの調整です。鶏もも肉は場所によって厚さがバラバラですよね。厚い部分に包丁を入れ、左右に開く「観音開き」にして、全体の厚みを均一にします。これで「ここは焼けているのに、こっちは生」というムラがなくなります。
そして、最も重要なのが水分除去です。キッチンペーパーを使い、皮目だけでなく身の方もしっかりと押さえるようにして水分を拭き取ってください。このひと手間で、焼き上がりのパリパリ感が別次元になります。
科学で焼く!「コールドスタート」と「重石」の魔術
いよいよフライパンの出番ですが、ここで火をつけてはいけません。
フライパンが冷たい状態から焼き始める「コールドスタート法」を試してみてください。冷たいフライパンに皮目を下にして鶏肉を置きます。このとき、油はごく少量で構いません。鶏自身の脂を引き出すイメージです。
点火したら、弱めの中火に設定します。ジューという音が小さく聞こえ始めたら、ここでもう一つのプロの技「重石(プレス)」を投入します。アルミホイルを肉の上に被せ、その上に水を入れた小鍋や、底の平らな耐熱皿を乗せてください。
こうすることで、反り返りやすい鶏の皮がフライパンにピタッと密着します。重石をすることで皮全体の脂が効率よく溶け出し、自分の脂で皮を揚げているような状態になるんです。これが、あの「パリッパリ」の正体です。
触りすぎ厳禁。肉汁を閉じ込める「8対2」の法則
焼いている最中、気になって何度もひっくり返していませんか?美味しいチキンステーキを作るなら、我慢が必要です。
基本的には「皮目8割、身が2割」のイメージで火を入れていきます。皮目からじっくり焼いていると、肉の側面が徐々に白っぽくなってくるのが分かります。全体の8割程度まで白くなってきたら、重石を外してようやくひっくり返すタイミングです。
ひっくり返した後は、身の表面をさっと焼くだけ。身の方を長く焼きすぎると、水分が抜けてパサパサの食感になってしまいます。もし道具があるなら、中心温度が65度〜70度程度になるのを狙いましょう。なければ、一番厚い部分を指で押してみて、弾力があれば火が通った証拠です。
最後の仕上げ「余熱」が魔法をかける
焼き上がってすぐに包丁を入れたい気持ちは分かりますが、そこをグッと堪えてください。
フライパンから取り出した鶏肉を、温めたお皿やバットに移し、アルミホイルをふわっと被せて3分から5分ほど休ませます。この「休ませる」工程こそが、肉汁を肉の内部に定着させる魔法の時間です。
焼きたてすぐに切ってしまうと、せっかくの美味しい肉汁がすべてまな板に流れ出てしまいます。休ませることで繊維が落ち着き、カットした瞬間に口の中で肉汁が弾ける仕上がりになります。
絶品ソースで味のマンネリを解消する
塩コショウだけでも十分に美味しいですが、ソースのバリエーションがあれば食卓がもっと華やかになります。
まずは王道の「ガーリックバター醤油」。肉を焼いた後のフライパンには、鶏の旨味が詰まった脂が残っています。余分な脂をキッチンペーパーで軽く拭き取り、チューブニンニクと醤油、みりん、そして最後にバターをひとかけ落として煮詰めるだけ。これだけで、ご飯が止まらないメインディッシュの完成です。
さっぱり食べたい時は「おろしポン酢」もおすすめ。大根おろしをたっぷりのせ、ポン酢をかけるだけで、鶏の脂の甘みが引き立ちます。また、粒マスタードとはちみつを混ぜた「ハニーマスタードソース」は、お子様にも大人気のカフェ風の味わいになります。
道具選びで変わるチキンステーキのクオリティ
より完璧な仕上がりを目指すなら、道具にもこだわってみましょう。
フライパンは、熱伝導率が良いものや、厚みのあるものを選ぶと温度が安定します。例えば鉄フライパンを使えば、より高温でカリッと香ばしく焼き上げることができます。
また、油跳ねが気になる方はオイルスクリーン(油跳ね防止ネット)を活用してください。蒸気を逃がしながら油だけをブロックしてくれるので、皮のパリパリ感を損なうことなく、キッチンを綺麗に保つことができます。
盛り付けには、木製カッティングボードを使うとおしゃれなバル風になりますし、肉の断面を美しく見せるために牛刀包丁など切れ味の良い包丁で一気に切るのもポイントです。
鶏むね肉でも美味しく焼ける?
「もも肉は脂が気になる」という方のために、鶏むね肉で美味しいステーキを作るコツもご紹介します。
むね肉はもも肉よりも水分が抜けやすいため、焼く前の「保水」が鍵となります。ボウルに水、塩、砂糖を混ぜた「ブライン液」を作り、そこに30分ほど漬け込んでみてください。これだけで、驚くほどしっとりとした焼き上がりになります。
焼き方はもも肉と同様に皮目からですが、むね肉の場合は余熱をより意識してください。火を止めるタイミングを少し早めにし、アルミホイルの中でじっくりと中心まで熱を届けることで、パサつきを一切感じさせない極上のヘルシーメニューに変わります。
まとめ:美味しいチキンステーキの焼き方決定版!皮パリ中ジュワに仕上げるプロのコツを伝授
自宅で作るチキンステーキを最高のご馳走にする方法は、非常にシンプルでした。
- 肉を常温に戻し、水分を徹底的に拭き取ること。
- 厚みを均一にし、コールドスタートでじっくり焼き始めること。
- 重石をして皮目を密着させ、皮8:身2の比率で火を通すこと。
- 焼き上がった後に必ず「休ませる」時間を取ること。
このステップを意識するだけで、今日からあなたの家のチキンステーキは「プロの味」へと変わります。スーパーで買えるいつもの鶏肉が、家族を笑顔にする特別な一皿になるはずです。
外はカリッと、中は驚くほどジューシー。そんな「美味しいチキンステーキの焼き方決定版!皮パリ中ジュワに仕上げるプロのコツを伝授」した今回のメソッドを、ぜひ今夜の夕食で試してみてくださいね。

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